歯ぎしりと食いしばりの原因と治療法(中編)



第33回動画は「歯ぎしりと食いしばりの原因と治療法」の2回目、3部構成のうちの【中編】です。論文を読破するのが趣味というマイク・ミュー先生は、強力な咀嚼筋の拮抗筋は、舌ではないかと仮説をたてました。下がってしまった現代人の舌は、無意識の反射神経のなかで食いしばる咀嚼筋に対して、拮抗筋としての役目を果たせていないのではと考えています。

咬筋は第3種てことして作用しています
この位置の関節と筋肉、食物を考えると
奥歯で噛んでいるならもっと後ろですが
1対2の機械的に不利な状態で作用しています
その比は小さくて、従って
より大きな力を必要とします
身体のどの部分よりも強い筋肉を使ってです
咀嚼筋や側頭筋のような
顎を閉じる筋肉が本当に強いのです
その筋肉の成り立ちから、
充分に大きな力を加えることができます
これらのとても大きい筋肉は
たくさんの力を加えることができますが
その拮抗筋は何でしょうか?
これら全ての筋肉に拮抗筋があると考えると
顎を閉じる筋肉であるこの大きな咬筋を
リラックスさせたり規制したり、あるいは
制御するのはどの拮抗筋なのでしょうか?
私はこれらの筋肉ではないと思います
これらは全て小さい筋肉で、始めから
そのような目的で形成されていません
ここではっきりさせておきたい事は、私は
噛んでいる状態の話をしているのではありません
口を閉じている時の状態、安静時で、
普通にしているときの姿勢位です
噛み始めると状態は異なります
人々は噛んでいるときは食いしばりませんが、
安静にしている時は食いしばっています
これが歯ぎしりの問題です
これらの太くて大きな筋肉の拮抗筋は
何でどこにあるのでしょうか?
私が想像するには
顎を閉じる筋肉の拮抗筋は、舌だと思います
舌はサイズや容積が最も大きい筋肉のひとつです
頭蓋顔面構造のなかで、頭蓋骨内で、
どんな方法で測ってもです
舌はとても良い中心位置にあります
顎を閉じる左右の筋肉に対して
バランスよく位置しています
なので、顎を閉じる筋肉に対する
拮抗筋の候補に挙げました
安静にしている時です
舌は大きさと容積、位置が適切です
システムとして何か不都合はあるでしょうか?
私の主な論文のひとつに頭蓋顔面の
形態崩落のコンセプトがあります
現代人の顔がどのように
変化しているのかを記述しています
その変化は良い方向ではありません
以前ほどに作用しない形態になっています
さらに機能も充分に働いていないので
一連の機能の問題につながるでしょう
その(形態崩落の)コンセプトは
食生活の大きな変化によってです
低カロリーの硬い食べ物から、高カロリーの
柔らかい食べ物を摂取するようになりました
それに加え、姿勢の変化です。
良い姿勢から悪い姿勢になりました
スマホを使ったり、座ってパソコンに向かうなど
姿勢に悪影響するものが多くあります
更に、アレルギーの多発、
叢生歯や乱ぐい歯が増えています
(アレルギーの)の大きな要素は鼻詰まりです
アレルギーは感染症レベルまで達し
そうなると一時的に鼻詰まりになります
鼻詰まりには2つの選択肢があります
唇を開いて、舌を口蓋から離し、
口呼吸をするか
死ぬかのどちらかです
それ以外の選択肢はありません
ここでの大きな問題点のひとつは、
回避行動が習慣になってしまうことです
多く人が口を開けっ放しにした状態に
なっています。舌が下がっている状態です
唇を閉じたままでも、
舌が下がっているというケースもあります
柔らかい食べ物が日常化したため、
使うべき咬筋を使っていません
舌が下がると、
舌の収まるスペースが減少します
その理由は、上顎が崩れてしまうことと
システム全体を通して筋力を働かせないためです
そうなると口蓋が狭くなり、
舌の収まるスペースが減ってしまいます
上顎も下向き後方に下がり、
より狭く短くなってしまいます
明らかな証拠は、狭い上顎です
我々の祖先の臼歯間距離を見てみましょう
下の線が狭い口蓋を表しています
我々の祖先は臼歯間距離が50ミリ弱でしたが、
現代人の幅は30ミリ弱です
その変化は比較的、短期間に起こりました
中世時代でも50ミリ弱から大きな変化はなく、
少なくとも40ミリ後半でした
現代人はその数値から大きくかけ離れ、
臼歯間距離が30ミリ弱です
それはとても大きな変化です
その原因のひとつが
舌が下がったことによるものです
舌のスペースを一旦無くしてしまうと、
舌を再び口蓋に付けるのが難しくなり、
容易に悪循環に陥ってしまいます
そこで代わりの行動をとります
後退した舌が気道を塞いでしまうので、
気道確保のために代わりの行動をとります
そのひとつは舌を歯の間から出すことです
この上の写真は比較的軽いケースですが
このように歯の間から、
舌を突き出している人々をみかけます
典型的な歯の痕跡が、舌の側面につきます
歯が動いて上下で噛み合うべきですが
舌が歯間にあるとそうならず、
舌に合わせて歯が移動します
歯間に舌が挟まっているので
歯が上下で噛み合うことができません
噛み合わせようとしても完全に噛み合わず、
いわゆる早期接触状態になります
何本かは少し早めに接触します
そうなると舌は口蓋に付いていません
舌が口蓋に付いていなければ
顎を閉じる筋肉に対して拮抗筋として作用しません
それと舌が歯間にずっと挟まれているので
多くの場合、その舌位置が習慣になってしまいます
人間は動的な生物なので
わずかに噛み合っていない状態で、
顎関節が調整されバランスを取ります
顎が開いたままになり
嚙み合わせてもバランスが取れません
この写真から分かるように、
舌がホタテ貝模様になっています
舌が歯間にあることの典型的な証拠です
私が子供のころ、後部座席で
シートベルトを付けずに寝ていて
起き上がって「まだ着かないの?」と聞くと
寝ていた顔にイスの跡が付いていました
あるいは熟睡後に目覚めると、
顔の横にシーツの跡がついてしまうことです
お分かりのとおり、舌についた痕跡は
舌が歯列に沿って食い込んだため
歯型の跡が付いてしまいました
私たちは舌スプリント作用と呼びます
強く噛み過ぎないようにする
別のメカニズムがあります
体内には多くのメカニズムがあります
一般的に痛みのメカニズムが
作用することで怪我を防ぎます
散弾反射ということを学びました
散弾の粒を口に入れたときです
これらの歯の写真をご覧下さい
散弾銃で射止めたキジなどの
野生動物を食べた体験を取り上げます
これは私にも一度起きたことです
私の叔父は昔、狩りをしていました
肉を食べていると突然、
歯間に散弾の粒を噛み込むので
咀嚼が止まります
驚くことに、歯はぶつかることなく
横にずれて回避します
10〜30Kg の圧力が加わっていても
歯は接触しません
とても小さな異物が歯に当たると
全体システムが働いて咀嚼を止めます
止まった理由は、噛み砕こうとしたときに
散弾の粒に当たったからです
散弾の粒は1本ないし数本の歯に当たり、
他の歯には当たっていません
1本の歯に過負荷が加わるので
反応のメカニズムが伝わり、
噛むメカニズムのスイッチが止まります
それが過負荷のメカニズムです
我々は32本の歯があるべきですが、
大方の人はおよそ28本の歯があります
あるいは24本だけの人も多いです
1本の歯に対して2〜3Kg の負荷が
働くメカニズムを考えて
全ての歯に対して
過負荷の閾値(しきいち)が加わると
とても大きな力となります
大きな Kg 単位の力です
もし歯が適度によく噛み合わさるなら
早期接触が少しあるかもしれませんが、
嚙み合わせ時に少し歯が動くことを
覚えておきましょう
嚙み合わせる時は歯を動かしながら
力を加減します
大きな Kg 単位の力を加えるときです
歯全体の閾値を超え始める前にです
なので、このメカニズムが始まる前に
大きな力が加わっています
このメカニズムは嚙んだ時に、細かい
コントロールをするように設計されていません
なのでもし正常な拮抗メカニズムが無く
正常な制御システムが働いていなければ
噛み合わせ時に閾値(しきいち)を
大幅に超えてしまうでしょう
過負荷の閾値を上回る前に
大きな Kg 単位の力が加わるでしょう
そのレベルの力で多くの損傷を引き起こすでしょう

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