【第96回ブログ】歯根が短くなる問題

【歯根吸収は避けられない問題なのか?】

患者さんには分かりませんが、ほとんどの矯正歯科医は歯根が短くなってしまった治療を経験しています。歯を動かす以上、ある程度は仕方が無いと思っています。

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歯は0.1ミリほどの歯根膜を介して、歯槽骨(しそうこつ)に植立しています。ねじれた歯に力を加えて整列させると、押された側の骨が溶けて無くなり、引っ張られた反対側の骨のスキマには新しい骨が生まれます。

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こうして、曲がった歯に力を加えると、1ヶ月に1ミリづつ歯が動いて整列します。しかし、この力が強すぎると歯根膜に血液が流れず、顎骨だけでなく、歯の根っこも溶かしてしまう問題を生じます。

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力が弱ければ歯は動かないので治療は進みません。かと言って、強すぎれば歯根が溶けて短くなります。ちょうど良い力の強さにコントロールしなければなりません。

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治療技術の進歩に伴って、歯根吸収の問題は少なくなりましたが、それでもまだ100%解決にはいたっていません。ニュースソースは

https://orthotropics.com/orthodontics-needs-change/

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【歯根膜はエライのだ!】

歯の根っこは三角錐で、ソケットのような歯槽骨(しそうこつ)に杭を刺したような状態で立っています。そのままでは抜けてしまうので、抜けないように杭を繋ぎ止めているのが、厚さ0.1ミリほどの歯根膜です。

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杭を打ち込む方向の、噛む力に強い歯根膜も、杭を倒す横方向の力にはあまり強くありません。また、ガツンと加わる衝撃力には耐えるけど、ジワーッと押してくる継続的な力には弱いです。

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歯周じん帯とも呼ばれるゴムひものような歯根膜ですが、歯を動かす横方向の力が加わると、歯根膜がつぶされ血流が止まり、軽い炎症を起こします。矯正治療でワイヤーを調整した翌日の痛みが、これです。

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歯根膜の血流を止めない治療法は、例えば、調整後に振動を加えるとか、取り外しのできるアライナーを間欠的に用いることなどです。これにより、痛みが少なく歯根吸収も起こさないのではないかと考える先生もいます。イラストは名古屋の芦刈DCさんのブログを参照しています。

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【歯根膜はエライ・・その2】

コラーゲンの太い線維の束からなる歯根膜には、種々の細胞成分が含まれています。その中に破骨細胞と造骨細胞があって、歯を動かそうと力を加えると。

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押されて圧縮された側の歯槽骨が、破骨細胞に食べられて削られます。リウマチと同じメカニズムです。反対の引っ張られた側では、スキマを埋めようと造骨細胞が新しい骨をつくります。骨折が治るメカニズムです。

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削って埋める。このようにして1ヶ月で1ミリのスピードで、歯は動いていきます。横移動のほかに、回転と傾斜、垂直方向の飛び出し(挺出)と埋め込み(圧下)の動きもします。

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歯科矯正はこれら3次元の複雑な動きを組み合わせて、歯並びを整えていきます。それなのに、後戻りしてしまうのは、何か特別な理由があるのでしょうか? イラストは鎌倉dentofaco 様のブログから参照しています。

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