顔を読む

【第102回ブログ】顔を読む

顔を読むとは、顔貌の成長変化を予測するという意味です。多くの矯正歯科医は、永久歯が生えそろう頃からの治療を勧めます。それ以前の混合歯列期(乳歯と永久歯が混在)から治療しても、後戻りしてしまうと考えているからです。

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写真の青年をご覧ください。高校生もしくは専門学校生の年頃でしょうか。下顎が細くて小さく、お口は開きっぱなしです。鼻から上は大人でも、鼻から下は小学生なみです。なんとも眠たそうにしています。(写真をアデノイド顔貌に入れ替えています)

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この子が仰向けで寝ている状態を想像してみてください。口を開いたまま寝てしまいそうです。年とともに睡眠障害に悩まされそうです。下顎に収まりきれない舌は、ノドに落ち込んで気道を塞ぐからです。

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写真のような顔の少年・少女があなたの周りにもいませんか? 10人に一人くらいはいそうです。これは歯並び以前の問題です。6歳からの顎顔面成長にもっと注目されるべきです。そして、矯正専門医は6歳からのマネージメントにもっと関与すべきです。

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【お顔が他の子と違うなと感じたら】

あなたのお子さんのお顔が、他の子と違うなと感じたら、お近くの小児歯科医もしくは矯正歯科医に相談されてはいかがでしょうか。横顔の X線写真を診て、「異常は見当たりませんね」と先生はおっしゃるかもしれません。

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オーラル・ポスチャー(お口まわりの姿勢位)は、X線写真に写らないので判断が難しいのです。お口を開きっぱなしにしたり、舌を上下の歯の間に挟んでいる習慣があると、鼻から下の中顔面の成長が損なわれる心配があります。

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できれば、MFT 口腔筋機能療法に理解のある先生に診ていただくのが良いかと思います。何度も申し上げますが、7〜8歳までにオーラル・ポスチャーを改善しないと、健やかな顎顔面成長は望めません。

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【下向きの成長をチェックするために】

上顎前歯の切端から、鼻の頂点(鼻と耳穴を結んだ延長線)までの距離を測ったものが、インジケーターラインです。上顎が水平前方に成長できず、下向き後ろ向きに成長してしまうと、この計測値が大きくなります。

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日本人の子供さんの場合、5歳で27ミリ、10歳で32ミリ、15歳で37ミリが目安です。1年で1ミリの増分と考えれば分かりやすいですね。

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この数値にピッタリならば理想的です。5ミリほど大きくても、まあ大丈夫です。しかし、10ミリ以上大きければ、噛み合わせと歯並びに、さらに将来は呼吸の問題を抱えるかもしれません。矯正専門医に相談する指標にしてください。

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