アメリカの早期矯正(1期治療・混合歯列期の矯正)

【第108回ブログ】アメリカの早期矯正(1期治療・混合歯列期の矯正)

1期治療と2期治療の年齢

1期治療の年齢は6才から10才、2期治療は11才以上、大体15歳ぐらいまでに行われます。

米国における矯正開始の平均年齢

アメリカ歯科協会によると、矯正治療を行う患者さんの7割が12~15才の女の子だという結果が出ています。

高校の卒業アルバムの写真撮影までに矯正装置を外したいと思っている女の子が多いのです。平均矯正期間は大体1年半から2年ぐらいかかるので、12~15才で始めれば、卒アルまでに間に合う計算になります。

一番いい矯正開始年齢は!?

多くの歯医者さんが、どの年齢になっても矯正で得られるメリットはあると言います。しかし、いつ矯正を開始するのがいいのかという意見は、各歯医者さんによって異なります。

もちろん、子供によって歯の生え方が異なり、早期矯正が必要だと判断されれば、一般に勧められている年齢よりも早く始めるべきだという意見に賛成しています。

また、成長するスピードが異なるので、身体的要素も基準に入れるべきだと話しています。

10~14才がベストだと言う歯医者さんは

「頭と口が成長段階にあり、歯が動きやすい年齢」という理由を挙げています。

10才が最適だと述べた歯医者さんは、

「口腔内が矯正を受け入れられるほど成長しているし、比較的楽に仕上げられるから」と言っています。

一方、遅くても8才までには矯正歯科医に診てもらい、治療プランを立てる方が良いという1期治療派の歯医者さんもいます。

アメリカ歯科協会は7才から治療を開始する1期治療を勧めています。それよりも早く治療することも可能ですが、アメリカではめったに行われていません。

 

1期治療か2期治療か アメリカ人の一般的な考え

子供がいつ治療を始めるかは、親の影響も大きいです。歯科教育を受けていない人の大半は下記のように思っています。

  • 10才前で矯正を始めるなんて早すぎる、成長に良くない、効率が悪い。
  • 早く矯正しても、再度調整が必要になり、金銭面で負担が増える。
  • 自分の子供に矯正させる年齢は、自分が受けた年齢と同じぐらい。例えば高校時代に矯正を開始した人の子供は、同様の年齢で始めている。

一般の親が子供に1期治療を選ぶ理由

  • 子供の歯並びが早くきれいになってほしい。
  • 10代に入るとスポーツや勉強などで忙しくなってしまう。

歯医者さんが1期治療を勧める理由

  • 噛み合わせや顎に問題がある。
  • 歯並びと噛み合わせに中度から重度の問題があり、後まで待つべきではない。
  • 永久歯のはえるスペースがない。

歯医者さんが教える1期治療のメリット

  • 歯列アーチの幅を拡大できる。
  • 見た目を良くして向上心を上げられる。
  • 2期治療を容易にし、治療期間を短くできる。
  • 最終治療結果の持続性を高められる。
  • 発音が明確になり、スピーチが発達し向上する。
  • 良くない口の習慣を正せる。唇や舌の機能が向上する。
  • 萌出してくる歯のスペースを増やせる。
  • 忙しい10代に突入する前に準備ができる。
  • 顎の成長を誘導し、上顎と下顎の関係を向上させられる。片方が成長しすぎた場合や、十分に成長していないケースは、この段階で改善できる。
  • 永久歯の抜歯や、顎の手術の必要性を減らせるか、避けられる。

一方、下記のように考える歯科医もいます。

2期治療を おすすめ派の歯医者さんは

  • 1期治療では歯並びを良くする段階ではない。
  • 大抵の子供は1期治療が必要ではないので、もし歯科医が1期治療を勧めたら、子供が反っ歯やひどい出っ歯だったりと重症であるサイン。
  • 乳歯が全て抜けて、親知らず以外の永久歯が生え揃ってから矯正を始めるのが一番いい。女の子は11才~12才、男の子は12才~13才が最適。

1期治療では拡大装置を使って上顎を拡大し、2期治療では歯並びを治すという考え方もありますが、1期、2期に関わらず装置着用中は通院時間と治療費がかかります。また口腔内に傷ができたり、他の問題を引き起こしかねないので、1期治療を省き、2期治療のみに専念するという考え方です。

ある歯医者さんは、1977年以来3万人以上の患者さんを診て来ましたが、1期治療なしで問題なく治療しているそうです。治療期間が短くて同じ結果が出るのだから、より良いと言っています。

 

 

1期治療では準備、2期治療で矯正

1期治療では必ずしも矯正装置を付けるのではなく、顎のラインを整え、永久歯の隙間を作ることに焦点を当てているようです。2期治療で矯正を容易に行えるための準備作りが大切だと述べています。

 

 

1期治療で 矯正装置を着用するデメリット

1.治療の大変さ

  • 10才以下の子供がきちんと歯磨きをして、虫歯にならないようにするのは難しい。
  • 親が歯磨きの指導をしっかりしてあげないといけない。
  • 子供が矯正の痛みに耐えるのがつらい。

2.金銭的な面

2013年のアメリカの調査では初めてお母さんになる年齢が過去最長の26歳という記録が出ています。子供が6才になる頃には、母親が32歳、子供が10才の誕生日を迎える時には、母親が36歳という計算になります。

2017年に行われたアメリカの年齢別平均収入のデータによると、30代の女性では370万円から450万円ほどです。同年代の男性の平均年収はそれに20%増しになります。

夫婦共働きなら、高額な矯正治療を支払える余裕は十分にあると推定できます。しかし、どちらか一方の親だけ働いている場合や、片親だけの家族構成、あるいは複数の子供がいる家庭だと、早期の矯正治療は経済的に大きな負担がかかることは確かです。

平均年収のデータによると、年を重ねるにつれて増加傾向にあるので、子供がティーンになった2期治療の頃になれば、経済的にもっと余裕が出てくるので、矯正に踏み切りやすくなります。

 

アメリカの平均矯正費用

アメリカの矯正治療の費用は、平均で5000ドルから6000ドル。日本円にしておよそ55~65万円なので、日本よりは低めです。

しかし、州や各クリニックによって値段が大幅に変わり、一番安い金額は3000ドル、最高で10,000ドルほどかかる歯科医院もあります。

 

【参考資料URL】

1期治療と2期治療の年齢 ・ 歯医者さんが教える1期治療の利益

http://www.dsadental.com/current/orthodontics/phase_I_phase_II_treatment.html

アメリカにおける矯正開始の平均年齢 ・ 一番いい矯正開始年齢は!?

https://www.johnsoneliteortho.com/orthodontic-statistics-did-you-know/

https://oralb.com/en-us/oral-health/life-stages/braces/when-to-get-braces

2期治療 おすすめ派の歯医者さん

http://funcheaporfree.com/2015/01/how-young-is-too-young-for-braces/

https://fryorthodontics.com/age-for-braces/

2.金銭的な面

http://www.businessinsider.com/average-age-of-mother-having-first-child-going-up-2015-6

https://www.cnbc.com/2017/09/12/heres-how-much-money-american-women-earn-at-every-age.html

アメリカの平均矯正費用

https://www.valuepenguin.com/average-cost-braces

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