米国における、オーソトロピクス®顎顔面成長誘導の浸透性は?

【第109回ブログ】米国における、オーソトロピクス®顎顔面成長誘導の浸透性は?

IAFGG(International Association of Facial Growth Guidance)顎顔面成長誘導協会が、オーソトロピクス研究会として機能しています。顎顔面成長誘導 (オーソトロピクス) 協会とは、英国のミュー先生父子のオーソトロピクス®概念を伝える国際的な組織です。

アメリカでのオーソトロピクス治療 

上の写真は、アメリカ国内で顎顔面成長誘導(オーソトロピクス)協会に所属している、歯科クリニックを示しています。具体的な例として、ワシントン州で初めてバイロブロック®を用いてオーソトロピクス®治療を開始した矯正歯科医を取り上げています。

ワシントン州シアトルの先生は、矯正歯科医院を開業しています。子供から大人まで幅広い年齢層の矯正治療を行っています。従来のワイヤー矯正だけでなく、オーソトロピクス®やインビザライン®も取り扱い、多くの患者さんの要望に応えるように努めています。

オーソトロピクスの主な目的は、上下の顎を正しく成長させることです。顔の成長パターンは多くの場合、縦成長が著しく、横成長が足りないので改善を試みています。見た目だけでなく機能面にも影響します。顔は長く狭く平らになり、鼻が大きくなり、後の人生でたるみが出る傾向があります。

また、顔が前方に成長しないことで気道がふさがります。成長期の子供の適切な気道は、体、認知および行動発達に大きな影響を与えます。オーソトロピクスは顔のパーツが発達し気道が広がるといいます。

歯よりも顔を重視しているので、完璧な歯並びになりませんが、叢生は大きく改善し、後に自然と歯並びが良くなる可能性が高くなります。患者が希望すれば、2期治療でワイヤー矯正かインビザライン矯正を選ぶこともできます。また、オーソトロピクスは後の人生で顎の手術を避けられる可能性があります。

どのようなオーソトロピクス®治療をしていますか? バイロブロックを用いています。

患者さんの対象年齢は?開始年齢は? 3歳から12歳です。

治療費はどれくらいでしょうか? コンサル費 (矯正歯科医に相談するだけ) 200ドル

実際の診察料 (レントゲン、歯型取り、写真撮りなど) 600ドル

オーソトロピクス費 5200ドルから10150ドル (診察回数が12回から24回まで)

それ以上の治療が必要な場合は追加で3000ドル、診察代は1回250ドルです。

治療に要する期間は? 通常は1年から2年ですが、症例によっては2年以上かかる場合もあります。

 

筋機能学会でのオーソトロピクス的な取り組みはいかがでしょうか?

偏りはあるものの、数多くのクリニックがオーソトロピクス協会に所属しているようです。カリフォルニア州などの都会付近は、多くのクリニックが所属しているようです。

ウェスト・ミシガン・オーソトロピクス・スタディセンター

(West Michigan Orthotropic Study Center)

 

アメリカ北東部のシカゴ付近にもたくさんのクリニックがあります。その理由は、ウェスト・ミシガン・オーソトロピクス・スタディセンターというスタディグループがあるからです。このスタディセンターは、イギリス在住のミュー先生の知識と専門分野を米国に広めるために、ミシガン州に1985年に設立されました。設立のきっかけは、同年にミシガン在住の歯科医と矯正歯科医たちが、テキサス州で開催されたジョン・ミュー先生の講演を聞くために集まったことです。

アメリカ顎顔面成長誘導学会 ( The North American Association of Facial Orthotropics )

アメリカ顎顔面成長誘導学会というNPOが、カリフォルニア州サンフランシスコ郊外のwalnut creekという街にあり、医師や技術者などが所属しているようです。この団体のフェイスブックには歯科医を始め、2018年時点で360人ほど登録しています。この団体もミュー先生父子を招いてレクチャーをシカゴで行っています。

カリフォルニア在住の歯科医であるHang先生は、1970年代初期に歯科大学を卒業して以来ずっと歯科治療を施しています。近年では2014年にカナダのカルガリー市でオーソトロピクス®と顔の成長に関する講演会を行いました。

従来の矯正歯科が顔に影響するという考えの矯正歯科医のサイトはたくさんありますが、オーソトロピクス的な顔の成長を促している歯科医の数は比較的にまだ少なく、これからのようです。しかし、アメリカ国内の地図からもわかるとおり、オーソトロピクス協会に所属しているクリニックがほぼ全地域にあるので、オーソトロピクスという知名度を上げることで、将来もっと新規の参加者が増えることでしょう。

ミュー先生親子が行っているユーチューブでの投稿やアメリカでの講演によるマーケティング効果が大きいことから、これからも彼らの活躍に期待できるでしょう。

参考URL

International Association of Facial Growth Guidance (Orthotropics)

https://orthotropics.com/

The North American Association of Facial Orthotropics

https://orthotropics-na.org/what-is-orthotropics/

https://www.facebook.com/groups/362541652899/permalink/10154282174392900/

West Michigan Orthotropic Study Center

http://www.wmiorthotropics.org/index.html

Hang先生

https://facefocused.com/biobloc-orthotropics-for-kids-2/what-is-orthotropics/

ワシントン州シアトルの先生の例

http://www.aligneforlife.com/orthotropics/

http://www.aligneforlife.com/orthodontics-vs-orthotropics/

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