イギリスの歯科矯正事情

【第4回】イギリスの歯科矯正事情

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矯正セラピスト(矯正専門の歯科衛生士)

指示を受けたことであれば特に業務の制約は無さそうです。矯正セラピストの訓練コースは、治療の効率化、専門医の負担軽減、治療計画の適正な管理のために設けられました。更には、矯正治療に携わる医療スタッフの教育費の低減効果も見込まれています。矯正セラピストには矯正専門医がいない田舎での治療を肩代わりする役目も期待されています。英国矯正歯科医会は2014年に、矯正セラピスト制度の導入が、どのようなインパクト(社会的効果)をもたらしたかを調査しました。残念ながら、その調査報告はまだ完全に公開されていません。矯正セラピストのコースについては、以下のウェブサイトが参考になります。

http://www2.warwick.ac.uk/fac/med/study/cpd/dentistry/therapy/

その他の矯正歯科コース

一般歯科医が矯正に関する技能と知識を修得するために、数多くの研修コースが設定されています。歯科医を対象とした London School of Facial Orthotropics は、1983年に創設された世界で最も歴史のある研修コースであり、顎顔面の成長誘導と不正咬合の治療を関連づけて教育するところに特徴があります。矯正治療がスペースを作って歯を並べることに対して、Orthotopicsは唇舌のバランスのもとに、筋機能を正常化させ、顎顔面成長を誘導するものです。(専門的過ぎてうまく説明できません。また、矯正専門医のなかには異論のある先生もいらっしゃることでしょう。)

 

 更に、矯正専門医を対象とする研修コースも多々あります。ひとつの著名な訓練コースは Excellence in Orthodontics と呼ばれ、30年の歴史があります。これは矯正専門医のスタディクラブで、最新の技術や装置を2日間のコースで繰り返し履修するものです。

矯正の普及率について

英国矯正歯科医会によれば、大人と子どもを含め2014年に202,300人が矯正治療を開始しました。13歳未満の子どもは72,300人(36%)で、13〜17歳の子どもは128,500人(64%)です。従って、大人の患者は圧倒的に少なく、子ども:大人の比率は100:1の割合です。大人の新患数は1,500人あまり、日本とは大きく異なります。(注:この新患数はNHS保険対象者数であるかもしれません。)

12〜15歳の全ての子どものうち、すでに矯正治療を終えた子どもは、2013年調査で10〜14%であったとのことです。また、12〜15歳の時期に矯正治療を開始した子どもは、こども全体の36%でした。2003年の調査では12〜15歳の子どもの矯正治療は82%が固定式の装置によるものでした。混合歯列期における治療については参照できるデータがありません。抜歯症例に関しては、15歳までに少なくても15%の子どもが抜歯対象であったと推計されています。(日本では成人矯正が多いことと、顎が小さいため約半数が抜歯矯正となっています。)

続きはまた次回に・・・・

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