アメリカの歯科矯正事情

【第5回】アメリカの歯科矯正事情

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歯科医療費の支出について

2014年度の米国政府予算330兆円($3.0兆ドル:1ドル110円として)のうち、メディケアおよびメディケイドなどの医療費補助に支出した割合は17.5%です。また、2012年における歯科医療にかかわる支出の割合は自費診療が42.3%、民間保険診療が48.1%、メディケイドなどの政府補助診療が9.6%でした。これらの数字は2014年に自費が40%、民間保険が50%、政府補助が10%と変化しています。2014年における政府の歯科医療支出総額は12兆5000億円($113.5 Billion)であり、対前年比で2.8%の伸びとなっています。(上記政府支出の$113.5ビリオンは再検証します。)

一般歯科医(GP)と小児歯科医による矯正治療について

GP矯正に関する情報は、オンラインでも出版物でも限られています。現在、米国には80,000人におよぶ一般歯科医がクリアアライナー矯正の認定医として登録されています。最新の情報によれば、一般歯科医の60%が矯正治療も手がけ、従って年間100万人の新患数の追加が見込まれます。そう遠くない時期に、一般歯科医が治療する矯正患者の数が、矯正専門医を上回るであろうとの予測があります。

矯正歯科の専門性は連邦政府レベルの疾病予防管理センター(Centers for Disease Control and Prevention:CDC)によって管理されています。更に、米国歯科協会(ADA)などの専門組織や州政府により、治療の質について監視されています。矯正歯科医と一般歯科医との間には、明確な問題が生じているわけではありません。しかし、米国歯科矯正評議会 (American Board of Orthodontics : ABO) は2006年以来、評議会が認定した矯正専門医による治療を受けることを、一般市民にむけて啓発しています。また、米国矯正歯科医会(AAO)は専門医による治療と、一般歯科医による治療の違いを、公衆にむけてキャンペーン広告を展開しています。このキャンペーンは2006年に「スマイルのその先に : More than a Smile」というテーマで開始され、TV・冊子・インターネットを通じて好評を博しています。

一般歯科医のほかに歯科分野で矯正治療を手がけるのは小児歯科医でしょう。小児歯科医は矯正治療を学びますが、実際には約10%の小児歯科医が子どもの矯正治療を行なうとの、最近の調査報告があります。

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