顎関節症について

【第103回ブログ】顎関節症について

顎関節症 TMD については様々な分野の専門家が、その原因と対策に努力していますが、「これが決め手」One Fits All というものはありません。

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体の一部が不調になると、そこには唯一の原因があるものです。稀に2つ以上の原因が重なることもあります。それ以外の要素は、結果や思い込み、偶然一致などであり本質ではありません。従って、分けて考えて、本当の原因を探索することが重要です。

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文化人類学の見地から、私たちの祖先に顎関節症を認められなかった。現代社会においては、多くの人が TMD に悩まされています。私たちの顎はもはや20〜30ミリ後退してしまった。

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それが原因であると多くの専門家も認めています。後退した顎が関節にプレッシャーを与えていることは理解できるが、どうすればこの痛みを改善できるのか? 現時点で外科手術以外に選択肢はないのでしょうか?

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【さしあたりスプリントで上下を分離してみる】

さまざまな治療法があるにもかかわらず、20%の患者さんは改善されないそうです。良い治療法はすぐに効果が現れるもので、顎関節症 TMD に最も効果的な手法はやはり、スプリントです。

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スプリントは上下の歯列を分離する、プラスチック製のリテーナーのようなものです(写真)。厚さは1ミリから8ミリまで、目的と症状に応じて使い分けます。効果はテキメンで顎の痛みはすぐに消失します。

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しかし、消えた痛みは数週間から数ヶ月もすると、再びぶり返してきます。スプリントには短期的に痛みを緩和する効果があっても、根本的な原因を取り除くことはできません。スプリントをさらに厚くすれば一時的に良くなっても、痛みは再発します。

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スプリントには歯を押し込んでしまう(圧下する)副作用があります。また、スプリントによっても、やはり20%の患者さんは改善されないと言います。

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【次善の対策は理学療法なのだが】

顎関節症 TMD に取り組む専門家には、口腔筋機能療法士を含む理学療法士がいます。理学療法は物理療法と運動療法に大別されます。その具体的な治療法は Youtube 動画などでご覧いただけます。

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物理療法は熱を加える、電気刺激を与える、マッサージを施すなどです。また、運動療法は下顎を動かしながらストレッチするものです。さらに、日頃のくいしばりや歯ぎしり、姿勢の悪さを改善する習慣療法もあります。

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これら理学療法は、前回のスプリント療法と同様に、顎関節の痛みやクリック音、開口障害などの大幅な改善を見ることができます。しかし、その効果はやはり一時的なもので、20%の人には効果さえ無いと言います。

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顎関節症のイラストは、すまいる歯科クリニックさん(下妻市)のウェブサイトを参照させていただきました。

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【ラスト20%に届くオーソトロピクス】

現代のライフスタイルと顎関節症には強い関係性がありそうです。開きっ放しの口と、舌を使わないで飲み込む習慣が、顎の下向きの成長をもたらしました。歯並びが悪くなり、上下の噛み合わせがずれて、顎関節への負担が増しています。

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なかなか治らない、ラスト20%を治療できるのが、オーソトロピクスです。若い成人に限って、オーソトロピクス療法のお約束は「舌を口蓋に付け、唇を閉じて、1日6時間ほど歯を軽く噛んでいる」という前提条件を守ることです。

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お約束を守ることにより、上下顎の前方への成長を期待できます。これにより、将来の顎関節症のリスクを減らすことができます。しかし、このお約束は5〜12歳の成長期に最も効果的です。

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写真は左が18歳、右が25歳です。ローラさんはなかなか治らない顎関節の痛みを抱えていました。スプリントの効果も一時的なものでした。オーソトロピクス療法により、顎が前方に成長した結果、症状が再発することはありませんでした。

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ニュースソースはhttps://orthotropics.com/__trashed-5/

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