上顎拡大とその維持



第122回動画は、「上顎拡大とその維持」というタイトルで、ドレク・マホニー先生のビデオメッセージをお送りしています。もはや、小児歯科医療の進んだ日本で、タングタイを見逃すことは無いと思いますが、うっかり見逃すと、様々な不都合をもたらします。

舌を口蓋に付けられないので、発音と飲み込みに支障が出ます。また、舌が上顎を内側から広げないので、狭い上顎となりやすいです。開咬や出っ歯の原因となります。口蓋と表裏一体の鼻腔も狭くなり、鼻つまりやアデノイド肥大となりやすいです。

鼻が詰まると、お口で呼吸せざるをえず、さらに歯並びが悪くなります。結果的にビデオメッセージのように、上下4本の小臼歯を抜いて、歯並びを整えることになります。その先に待っているのは、睡眠時の呼吸障害です。ポイントは早期の治療です。6歳でチェックして、8歳ころには上顎拡大をはかり、犬歯の萌出スペースを確保しましょう。同時に口呼吸をやめさせ、いつもお鼻で呼吸するように習慣づけましょう。

今日は リテーナーチェックのために
 若いスティーブが来ています
彼は リテーナをよく使ってくれています
 そのリテーナを紹介します
フットボールのような穴が見えますか?
この穴は 舌先のためであり 
モラレス型リテーナと言います
一般的なホーレイリテーナですが 
 舌先の穴を開けました
口腔筋専門医と共同で開発しました
舌を正しい位置に導くためです
スティーブの場合 それが重要だったのは
治療開始時に 重度のタングタイでした
(コトロー分類の)9.5mmでしたが 
誰も気付きませんでした 重大なことです
タングタイだったので 舌の位置が
 正しくありませんでした
 その結果 開咬と
タングスラストになりました
この狭い口蓋をご覧ください
どのように治療すべきでしょうか
 上顎を拡大して
未萌出歯のスペースを作りました
ご覧の通り 良い歯列アーチになりました
舌小帯切除(タングリリース)の
 手術も行いました
今では容易に 舌を持ち上げられます
 舌の可動域がとても広いです
開咬が閉じて 犬歯のスペースもできました
左右とも十分なスペースです
 顎を上げてください
次に 上の歯4本の裏に
細いワイヤーを付けました
美しいアーチ形状をご覧ください
 舌がより快適に収まります
舌のスペースができ可動性があるため
この治療結果は後戻りしにくいです
ここでお伝えしたいポイントは
歯のスペースが無い場合や 
タングタイの子供の治療を
 遅らせてはいけません
結果的に4本の歯を抜くことになります
しかも タングタイがそのまま続くので
口腔衛生や 発音・会話 
飲み込みなどにも影響します
(早期治療をせずに)彼の犬歯が
自然に萌出することができたでしょうか
これは 2x4法により上顎を拡大した
 治療途中のX線写真です
 治療開始時をご覧ください
現時点では 乳犬歯から生え変わり
 とてもきれいに萌出しました
 歯科の観点からみて 
複雑な矯正歯科治療を避けられました
成長発達とスピーチの観点からは
飲み込み方と鼻呼吸が改善されました
口蓋は鼻の床面(フロアー)なので 
 早期に口蓋を拡大すれば
鼻呼吸が改善されます 
舌が リテーナになります
舌がタングタイだと(舌が持ち上がらず) 
上顎拡大の安定性は良くありません
全ての治療は相互に関連しています
スティーブ リテーナーを使い続けて 
また6ヶ月後に来てください

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