2018年前期の関連ニュースから

【第118回ブログ】歯科矯正、顎顔面成長誘導、及び睡眠時の呼吸障害に関する2018年前期の関連ニュースを拾ってみました。

【米国歯科医が睡眠に取り組む】

以前にもお伝えしたかもです。米国歯科医会 ( ADA ) が本格的に、睡眠障害を伴う呼吸疾患をスクリーニングしようと立ち上がりました。お口の中を最初に診るのは歯科医なので、呼吸障害の初期診断ができると考えました。

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狭いアゴのため、舌を収めるスペースが無く、睡眠中に舌が落ち込み、気道を圧迫してしまいます。歯ぎしりと舌側面のホタテ模様が、落ちている舌の証拠です。

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医科との連携は詳しく存じませんが、これまでは睡眠外来の指示のもと、スプリントなどを提供してきました。しかし、これからは最初に、呼吸障害および睡眠障害をスクリーニングして、自発的に治療を進めることができるようです。

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ニュースソースは

http://news.sleeparchitx.com/…/ProDentist-2018-May-June-Sle…

【お口周りの成長発達に保険適用】

今まで無かったのが不思議です。14歳までの子供たちの、お口周りの成長発達の診断と指導に、保険点数が付きました。歯医者さんが診療報酬を請求できるということです。

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子供たちの医療費を無料にしている自治体が多いので、親御さんの負担は変わりません。と言っても、診断と指導だけなので、実際の治療そのものは従来通り、自費診療となります。

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保険点数も決して多くありません。小児歯科と矯正歯科を含む一般歯科に、子供たちの健全な顎顔面成長を促す、ひとつのインセンティブとして作用すると思われます。

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噛み砕く、飲み込む、発音することが正しくできない子供たちをスクリーニングして、継続的に指導していこうという取り組みです。

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具体的には、歯の萌出の遅れ、歯並びと噛み合わせの異常の評価、舌突出などの悪癖の是正などが対象です。さらに、お口を閉じること、タングタイの問題も含まれています。初めの一歩ですが、実のある取り組みになることを願っています。

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【歯科疾患管理料の改定】

ハードなタイトルですね。H28年度改定の歯科疾患管理料の中味はというと、「歯科特定疾患療養管理料」と「歯科矯正管理料」が追加されたことです。いつもながら法令の解釈は奥が深くて難しいです。

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「歯科矯正管理料」は実際に動的な矯正治療を受けたあとの管理料ですから、これまでとあまり違いはありません。それでは「歯科特定疾患療養管理料」とは何でしょうか?

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顎・口腔の先天異常があり、永久歯が生えてこなくて、噛み砕くこと(ソシャク)や発音構音に障害がある場合です。そのための診断と指導について診療報酬が追加されました。かなり、ハードルが高そうです。

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余談ですが「歯科疾患管理料」の中に、睡眠時無呼吸症のためのスプリント使用に関する管理料が追加されています。日本においても睡眠歯科が一般的になりつつあります。

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【舌圧検査を子供たちにも】

H28年度の診療報酬改定にともなって、新たに追加された項目に「舌圧検査」があります。これは主に成人や老人を対象としています。舌がんや脳梗塞などによって、舌の機能が著しく低下した場合のリハビリ管理料です。

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具体的には、写真のような「舌接触補助床 PAP 」を用いて、舌を PAP床の仮想口蓋に接触させ、飲み込みや発音のリハビリを行うものです。 PAP を装着した患者さんに、月2回までの舌圧測定(リハビリ効果の判定)を認めるものです。

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子供たちのお口の中も同じことです。上顎が狭いか小さくて、舌を口蓋に付けられない子供たち(14歳以下)に無関心でいいのでしょうか? 舌を口蓋に付けられないのは、障害者と認定されているにもかかわらずです。

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お口をポカンと開けて、舌が下がったままの子供は、上顎が成長せず歯並びも悪くなります。「舌圧測定」を老人のリハビリだけでなく、障害をもつ子供たちにも実施して欲しいと切に願います。

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写真は釧路協立病院さんのHPからお借りしています。

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