マイオファンクショナル・セラピーの新しい流れ・・Part 2

【第100回ブログ】マイオファンクショナル・セラピーの新しい流れ・・Part 2

成人の3割が顎関節の問題からくる、関節痛や頭痛に悩まされているといいます。歯科医および専門医は、顎関節症の原因が多岐にわたり、治療法も人それぞれに異なると思っています。

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さしあたっての治療はスプリントを装着して、上下の噛み合わせを分離することかもしれません。また、噛み合わせに問題があるならば、歯科矯正も選択肢のひとつです。

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さらに筋機能療法士(マイオファンクショナル・セラピスト)が顎関節の分野において貢献できるのも多大です。舌や咬筋が正常に機能していないために、痛みを発症していることが多いからです。

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噛み合わせが正常にもかかわらず、クリック音や痛みがあるときは、歯科医院もしくは矯正歯科医院のマイオファンクショナル・セラピストに相談してみることをお勧めします。

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MFT と睡眠時無呼吸症・・】

睡眠時無呼吸症 OSA は事故が起きるたびに社会問題として報道されますが、意外とあなたの身近なところにあるのかもしれません。60歳以上の10%が10年早死にすると言われる OSA ですが、セラピストにできることがあります。

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朝起きて耳鳴りや胸の圧迫感があるなら、また、倦怠感や寝不足の感じが抜けないなら、一度、睡眠外来を受診してみてはいかがでしょうか? 自分の睡眠状態をご家族の誰かにチェックしてもらうとか、イビキをかいているか録音してみるのも手です。

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OSAの治療は病院の睡眠外来の先生に診てもらう必要があります。治療法は写真のような CPAP をつけて寝るか、スプリントをくわえて下顎と舌を前に突き出して寝るかです。どちらにしても生涯の負担になる問題です。

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診断の結果、マイオファンクショナル・セラピストが介入するケースはまだ少ないのですが、舌が喉の奥に落ち込んでいたり、お口を開けて寝る習慣がある場合は、筋機能を改善することにより緩和されます。睡眠外来の先生に相談してみてください。

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【あなたのお子さんをアデノイド顔にしないために・・】

アデノイド顔貌は、成長期にお口周りの筋肉が正しく働かなかった結果です。5歳からの顎顔面成長期に、口呼吸を続けていたり、長期間にわたってお口を開けっ放しにしていると、顎とお口の筋肉が怠けてしまいます。

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怠けた筋肉は、それが当たり前になってしまうと、顎と顔面の成長を促しません。アデノイド顔貌の特徴は、● 細長い顔 ●平べったい頬 ●狭くて深い口蓋 ●悪い歯並び ●大きく目立つ鼻 ●笑うと歯茎が見えるガミースマイル ●タレ目と半眼 などに現れます。

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口呼吸をしている、いつも口を開いていることに気がついたら、マイオファンクショナル・セラピストにご相談ください。独立開業されているセラピスト(筋機能療法士)はまだ少ないですが、矯正歯科もしくは小児歯科の歯科衛生士さんが、それを担当しています。

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早めに治療を開始すれば、問題が大きくならずにすみます。成長期のお子さんならば、セラピーによって元の成長軌道に戻すことができます。大人になってからでは、少しの改善ができてもより困難になります。この記事のニュースソースは、米国セラピストのサラ・ホーンズビーさんです。

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【動物が口呼吸では生きられない理由・・】

このシリーズの最終回は、今もっともホットな話題、それは鼻呼吸と一酸化窒素の関係です。刑事ドラマで犯人が胸をおさえて、「ニトロをくれ!」と叫ぶシーンがありますが、それです。

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ニトロはこの場合、ニトログリセリン錠剤のことであり、一酸化窒素を舌下吸収させて狭心症を和らげます。一酸化窒素(NO)には血管を拡張し、血圧を下げる即効性があります。

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この一酸化窒素は鼻腔軟膜からも産生されています。従って、口呼吸では体内に供給されず、鼻呼吸でのみ肺に送り込まれます。試しに鼻をつまんで、口だけで呼吸してみてください。慣れていないこともありますが、何となく全身の不調を感じます。

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成長期のお子さんが口呼吸を続けているのは、生体に必須の一酸化窒素を鼻から取り込めないので、重大なハンディキャップとなります。睡眠時の口呼吸が高血圧の一因かと疑われています。この分野の研究はこれからですが、鼻呼吸の重要性は生物共通のものです。

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マイオファンクショナル・セラピーは口呼吸をやめて、鼻呼吸に戻してくれます。舌を持ち上げ、唇を閉鎖し、姿勢を正す。舌を使って飲み込む、よく噛む、これらの口腔機能をまとめて訓練してくれるのがセラピスト(筋機能療法士)です。

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