3つのメッセージ、それは早期治療とADHD、そしてMFTです
【第132回ブログ】は、ドレク・マホーニー先生からの3つのメッセージです。7〜8歳からの早期治療でなければ、解決できない呼吸気道の問題があるといいます。IAFGG(国際顎顔面成長誘導学会)で発表された、マホーニー先生の最新研究からご紹介しています。
【スーパードクターのドレク・マホーニー先生】
オーストラリアで5軒の矯正歯科医院を経営するドレク・マホーニー先生は、もちろんスタッフと共にですが、1日に250人の患者さんを診ていて、現在治療を継続している患者さんは総数で3000人にもなるそうです。
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マホーニー先生の矯正専門医としての特徴は、早期治療にあります。7〜8歳頃からの顎顔面成長期に早期に介入することにより、歯並びだけでなく、顔面プロファイルを改善できると言います。
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そんなマホーニー先生の治療法は、オーソトロピクスとつながっています。顎の前方成長がもたらす魅力的な顔立ちとともに、十分な呼吸気道を確保することにより、生涯にわたる健康な体を維持できるというものです。
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【マホーニー先生とサラ・ホーンズビーさんの対談から】
15年間にわたり、4,600人の子供の患者さんを治療してきた、オーストラリアのドレク・マホーニー先生は、第1のメッセージとして、早期治療をあげています。
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マホーニー先生が矯正歯科医としてのキャリアをスタートしたときには、大人の歯が生えそろうまで、アゴの成長が終わる12〜13歳まで治療を始めなかったそうです。でも、それでは遅いということに気がつきました。
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それは、呼吸気道の問題からです。アゴの成長を期待できる6〜8歳ころに治療を始めることで、狭いアゴを広げ、アゴの前方への成長をはかることで、気道を確保することができると言います。
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AAO(米国矯正歯科医会)は、7歳までに診断を開始するように勧告しています。早めに治療を開始することで、大人の歯が生え揃ってからの治療が簡単になるほどに、アゴの成長を期待できると言います。
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【矯正歯科医がスクリーニングできる多動性障害 ADHD】
ドレク・マホーニー先生の第2のメッセージは、落ち着かない・騒がしい・動きまわる、という問題を抱える子供さんの多動性障害 ADHD に関してです。先生の研究によれば、多動性障害と診断された子供さんの6割に、睡眠障害が見られるとのことです。
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つまり、多動性障害と診断された2人に1人は、誤診によるものだったとの事実です。学校の先生から多動性障害と言われたため、紹介状に ADHD と記載されてしまった患者さんが多いと、マホーニー先生は問題を指摘しています。
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アデノイドや鼻つまりによって口呼吸となり、扁桃腺肥大やぜん息を誘発し、8〜10時間の質の高い睡眠をとれなければ、ADHD と同様の行動パターンを示すと言われています。事実、鼻呼吸にすることで解消され、親御さんから感謝されると言います。
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大人は倦怠感と強い眠気を催すのに対して、子供は脳を目覚めさせるために、どんどん活発になります。子供さんの ADHD が、興奮剤を処方すると治るのは大変ショッキングな事実です。
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睡眠障害によるイライラを ADHD と誤診されて、興奮剤を処方されるのはあってはならないことと、マホーニー先生は警鐘を鳴らしています。アゴの成長を助け、睡眠時の呼吸を改善してあげることが最善です。
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【第3のメッセージは MFT です】
矯正専門医のドレク・マホーニー先生は、マイオファンクショナル・セラピー Myofunctional Therapy ( MFT : 口腔筋機能療法 ) の熱心な提唱者でもあります。矯正治療を受けた子供たちのアゴの成長の安定性は、MFT 抜きでは語れないと言います。
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狭いアゴの子供さんが来院すれば、舌が下がっていて、口呼吸しています。気道を改善すれば鼻呼吸を始め、アゴを広げることができます。しかし、簡単に口呼吸から鼻呼吸に変わるわけではありません。
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しっかりと訓練しなければなりません。話し方や歩き方、そして鼻で呼吸することを教えます。鼻で呼吸し、唇を閉じ、舌を口蓋に付ける。MFTで矯正治療がスムーズに進むだけでなく、より良い結果を得られます。
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治療結果が良いことと、子供さんの睡眠の質が良くなることは、大いに関連性があります。睡眠医学で有名な米国スタンフォード大学のクリスチャン・ギブナー先生の教えは、まさしく この MFT : 口腔筋機能療法そのものでした。
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