ミッシング・リンク 隠れた手がかりを求めて

【第122回ブログ】は「アゴと睡眠」シリーズの3回目です。歯並びと姿勢が悪くなり、アゴが小さくなって鼻が目立ち、よく眠れないと悩む現代人共通のミッシング・リンクはなんでしょうか?

【アゴそれは隠れた流行病】

第114回ブログで紹介した「アゴ・それは隠れた流行病」という本には、センセーショナルすぎるという批判が寄せられています。しかし、アゴが小さいために、睡眠時の呼吸障害を起こしてしまうという説は、もはや否定できない事実のようです。

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米国で歯科矯正を受ける患者さん(平均して10歳前後)の約1割に、睡眠時の呼吸障害が認められるとのデータがあります。アゴが小さいために、歯並びや噛み合わせが悪くなるのですが、同時に呼吸障害も起こしているお子さんです。

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本の著者は、早期治療によってアゴの成長をはかり、そうすれば矯正治療を受けずに済むし、顔立ちも良くなると訴えています。対して、矯正専門医は「アゴの成長は遺伝なので変えられない」と否定的です。

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JAWS(ジョーズ)という映画がありました。JAWS はアゴのことです。写真は、この本を否定する立場から JAWS を揶揄しています。第114回ブログは以下のURLからご覧いただけます。

アゴ・・それは隠れた流行病
【第114回ブログ】「アゴ・・それは隠れた流行病」と題する本に対して、矯正歯科医会の立場からプロフィット先生とアッカーマン先生が苦言を呈しま...

【矯正歯科医が睡眠障害と向き合うとき】

睡眠時の呼吸障害が大人だけでなく、小さい子供にも起きていることは、よく知られています。子供の場合、扁桃腺やアデノイドが腫れて、ノドを狭くすることが原因です。軽ければイビキをかき、重症になると無呼吸症 OSA となってしまいます。

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矯正歯科医の向き合い方は、一つ目はスクリーニングです。来院されたお子さんの、口呼吸を鼻呼吸に転換させる必要があるためです。二つ目は、子供さんの顎顔面成長に異状がみられる場合です。アゴが小さいと、呼吸障害を起こしやすいためです。

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米国の矯正歯科医会 AAO は、2019年1月のカンファレンス・テーマに「睡眠障害と矯正」を取り上げました。まさにこのトピックの「アゴと睡眠」がテーマです。睡眠医科・小児歯科・矯正歯科が学際を越えて一堂に会し、議論を展開します。

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米国矯正歯科医会の19年冬カンファレンスのURLは以下に。

https://www.aaoinfo.org/…/2019-winter-conference-speakers-a…

【子供の睡眠障害が及ぼす影響について】

お子さんの成績が伸びないとしたら、それは良く眠れていないことが原因かもしれません。ほとんどの親御さんは、気が付いていませんが、お子さんがしきりと寝返りをうったり、イビキをかいていたり、オネショが止まらないようなら要注意です。

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お子さんがいつもお口を開けて寝ている、そして良く眠れていないようだ、と感じたときは、お近くの矯正歯科医もしくは小児歯科医にご相談ください。小児のための耳鼻咽喉科または睡眠外来でも構いません。

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呼吸しづらいことによる、子供の睡眠障害は血中酸素濃度の低下を招き、成長ホルモンの分泌を抑え、集中力を欠き多動性障害 ADHD を引き起こし、ウツや学業不振の原因となります。

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負のスパイラルは、アレルギー体質 > アデノイド・扁桃腺肥大 > 口呼吸と低舌位によるアゴの成長不全 > 呼吸障害と睡眠障害 > 重度の場合は睡眠時無呼吸症 > 睡眠不足・酸素不足 > 発育不全・無気力・学業不振・多動性障害 ADHD

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