ペルソナから見える課題
インタビューを経て、患者さんモデルとしてのペルソナを2つ作りました。20代の女性と、小学生の娘さんをもつ30代の母親です。2つのペルソナから、歯科矯正を普及する上での課題が見えてきます。
課題の1つ目は、矯正歯科専門医と一般歯科医との違いを理解していないことです。歯科矯正の先進国である米国においてさえ、その違いを理解している人の割合は6%とのことですから、日本においては1%にも満たないのでしょう。一般歯科医院が標榜する(看板をかかげる)矯正歯科は、専門医がいる場合と、いない場合の区別が困難です。ホームページなどで専門医が勤務していますとあれば安心できますが、そうでない場合には一般歯科の先生が矯正治療も兼ねることとなります。
2つ目の課題は判りにくい治療費です。相談料・診断料・装置代・治療費・調整料・オプション料・保定料とおおまかに分類されますが、総額はいくらになるのでしょうか? ペルソナは矯正治療を開始するにあたって、お金を貯めてから受診したいと思っています。また、ペルソナは専門用語が判らないのでウェブサイトの料金表示を正しく理解できません。ご自身またはお子さんの治療費は総額でいくらになるのか、具体的な症例とともに、おおよその総額表示を示すほうがわかり易いのではないでしょうか?
2つの課題にむけて、現状を知るための調査を開始しています。治療費については全国の100医院の料金体系を分析しています。医療提供サイドの論理でつくられた料金体系は、はたして潜在患者さんの心に届くのでしょうか? 併せて、仙台市内の一般歯科医院が標榜する矯正歯科についても調査中です。このコラムで1ヶ月以内の報告を目標にしています。