英語発音と歯並びの深い関係

【第83回】英語発音と歯並びの深い関係

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日本語は比較的にお口の前のほうで発音するので、あまり口唇周囲筋を使わずとも発音できます。しかし英語圏では、喉に近いお口の奥から、唇を尖らす先っちょまで、お口の周囲筋を大きく使います。歯並びが英語の発音の良し悪しに大きく影響することは言うまでもありません。日本語と英語の発音の違いが、歯並びの必要度の差になって現れているとも思われます。

f:エフ」の発音について

上の歯を下唇に軽く当てて、その間に息を通すと「エフ」の音です。「five:ファイブ」と言ってみましょう。「エフ」で下唇を軽く噛んでいますか? これが出っ歯だと下唇を噛めないので、「why:ファイ」のような「w:ダブリュー」の音に変化してしまいます。また、受け口のような反対咬合でも「エフ」の発音は聞き取りにくいですね。更に、「v:ブイ」は喉の奥で声帯を震わせるのが違うだけで、下唇を軽く噛むのは「エフ」と同じです。参照記事:30日でマスターする英語発音 http://www.eigoh.com

L:エル」の発音について

日本語の「ラ行」と英語の「エル」は必ずしも同じではありません。英語には始まりの「エル」と終わりの「エル」があるからです。始まりの「エル」は、舌先を上の歯茎(はぐき)に押し当て、軽くはじくように「Love」と発音します。これは日本語の「ラ行」と同じです。

英語には終わりの「エル」があって、「Hotel:ホテル」や「Oil:オイル」のように、舌先を上の歯茎に近づけながら発音する音があります。「ェル」や「ィル」に近い音です。上の歯茎に舌先を当てるので、上顎の乱杭歯(ガチャ歯)のケースでは発音に問題を生じます。特に2番目の歯が舌側に転位している(日本人に多い叢生)と、「エル」や「ラ行」を明確に発音できません。

R:アール」の発音について

日本語に無い音なので、イメージするのが難しいですね。舌を喉の奥に向かって巻いて、いわゆる「巻き舌」で、喉の奥から発する音です。顎が狭いと舌を巻きにくい。上の奥歯が下の奥歯より内側に入っている交叉咬合の場合、奥歯が舌の動きをさえぎって、「アール」の発音が難しいです。

西洋人は頭蓋骨が前後に長いので、お口の形も奥が深いです。従って、歯列も縦長です。だから、喉の奥で発する「アール」のコミュニケーション文化が発達したのかもしれません。フランス語やドイツ語はもっと極端に、喉の奥から「グググッ」と発音します。「アール」の発音はお口の周囲筋を使うので、歯列を育てるという効果も期待できます。お口の前のほうで発音する日本語はその点、歯並びには不利ですね。

今回のテーマは「th:ティーエイチ」

この音も日本語にはありませんね。「thank you:サンキュー」や「The:ザッ」でおなじみの「ティーエイチ」です。舌先を上の歯の切端に当てて、はじけば語頭の「thank you」のように、押し付ければ語尾の「with」のようになります。記憶違いでなければ、この音はフランス語やドイツ語、イタリア語にも無いと思うので、英語の特徴を良く表わしている美しい音です。

キレイに揃った前歯と、チョコンとはみ出た舌先から発せられるこの音に、英国人の伝統とアメリカ人の陽気さを感じます。この音をキレイに発音しようと思ったら、クラス1のガチャ歯やクラス2の出っ歯ではとても難しいです。アメリカ人が歯並びは親の責任とばかりに、子供の将来のために矯正治療を受けさせる気持ちがよくわかります。記事参照:www.ohyumiko.com

今回は「s:エス」と「z:ズィー」です

日本語の「サ行」や「ザ行」と同じ摩擦音です。この音を発するにはお口を横に拡げ、上下の前歯をすこし開け、舌をリラックスさせ、歯と歯の間から息を吐きます。お口の前に手をかざすと、空気の流れを感じますね。この「エス」または「サ行」の摩擦音はとても耳に残る音です。都内ですと小田急線沿いに、この音をきれいに発音される方が多いことに気がつきます。東北人にはあまり聞き慣れない音なので耳につくのかもしれません。

この音をキレイに発音するためには、上下歯列の位置関係が正しく、空気の通り道である歯並びが揃っていないと、音が濁ってしまいます。美しい摩擦音が聞こえる方を振り向くと、そこにはいつも歯並びの美しい方がいるものです。

p:ピー」と「b:びぃー」の破裂音について考えてみましょう

なぜ破裂音かというと、唇を閉じた状態から一気に息を吐き出すからです。日本語の「パ行」や「ば行」とほぼ同じ音です。「pen:ペン」や「bus:ばす」は、英語と日本語ではイントネーションを除けば大きな違いはありませんね。この破裂音は唇を閉じた状態から発する音なので、しっかり唇を閉じられないと難しい音です。最近の報道によれば、お口を閉じられない小学生のお子さんが増えているとのことです。正しい発音は児童保育の基本ですので、もしもお子さんの開口が気になれば、一度、歯科矯正専門の先生にご相談ください。

t:ティー」と「d:ディー」です

日本語の「タ行」や「ダ行」と同じ発音をする子音です。この子音は、お口を少し開けてリラックスさせた状態で、舌先を上の歯の裏側に当て、舌をはじくようにして息を出します。また、「d:ディー」の濁音は喉を震わせる点が違うだけで、舌先の使い方は同じです。

舌先を歯裏に付けられない不正咬合があれば、発音が不明瞭になってしまいます。ひどい乱杭歯や強い出っ歯のケースでは問題を伴うかもしれません。「タ行」や「ダ行」は日本語でも多用する子音ですので、会話に不自由があれば早めに専門医の診断を受けられることをお奨めします。

【歯ならびと発音】のまとめです

正しい発音と明瞭な会話のために、歯並びを良くすることは大変重要です。歯並びが悪いと舌の動きを制約し、あるいは舌に当たるので、滑舌をうまくできません。もしお子さんが、あるいはご自身が次のようなお仕事をめざしているのであれば、歯並びはマストです。

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英語教育を早めに始めるべきという意見があります。子供のうちから英語の音に慣れることが大切という考え方からです。英語を聴くことの次は発音と会話力です。歯並びが良くないと、この時点でハンディキャップとなってしまいます。正しい発音が自信につながり、コミュニケーション能力を引き出してくれることでしょう。

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