医院の広告規制(オーストラリアの矯正事情)
Part5)医院の広告規制(オーストラリアの矯正事情)
矯正歯科をふくむ医療サービス全般には、どの国にも広告規制があります。オーストラリアにも日本の厚生労働省のような部局があり、医療従事者規制法 Section 133 にもとづいて規制・監視しています。その内容を見てみましょう。
1)個人もしくは事業主体(医院・病院)は以下に示す広告をしてはならない。
a) 正しくない、誤解を招く、患者を欺く広告
b) 期間と条件を明確にしない、景品広告、治療費のディスカウント、その他の勧誘手段
c) 患者さんの体験談や治療実績を示す広告
d) 根拠の無い治療効果をうたう広告
e) 直接的または間接的に、過剰で不必要な医療サービスをあおる広告
2)(医院・病院のための)印刷出版および宣伝広告に携わる個人は上記の違反に問われない
3)違反と判断するために、裁判所は上記規制に準拠することがある
4)「規制される医療サービス」とは、医療従事者によってなされるサービスを言う
なんとも簡単な法律ですね。従って実質的に、歯科医および矯正歯科医はラジオ、TV、ウェブサイト、ブログ、SNS、新聞、コミュニティ誌に、自由に医院広告を掲載することができます。治療費のディスカウントも条件を充たせばOKです。しかし、患者さんの体験談を載せられないというのは驚きですね。また、治療前・治療後の写真を載せることは、患者さんの了解のもとにOKです。
日本では治療前・治療後の写真を載せてはいけない、と聞いたことがありますが、これは事実でしょうか?また、日本の医療広告規制では、宣伝広告に携わるメディア関係者も規制の対象になっています。日本においては、医療サービスを知らしめることはあっても、患者さんを勧誘してはならないという大原則があります。医療はビジネスではないという考えと、皆保険制度が根底にあるためでしょう。