どの位かかる?
【フランス矯正事情part1】どの位かかる?
フランスの医療事情の中で、患者側から見て感じることがあります。歯医者さんは他のお医者さんと違う位置づけをされている印象を受けます。フランス人同士で「私の歯医者さんいいわよ」という会話は何度もこれまで耳にしてきました。デンタルクリニックに通うのは身体のメンテナンスの一部ととらえているのかもしれません。小学生の高学年になると矯正歯科に通い始める子供達が多くなり、歯の矯正をするのは当たり前の感覚です。今回は、フランスで矯正歯科にかかるときの料金とシステムについてレポートします。
フランスの医療保険のシステムはこのような感じです。治療費の7割は国民健康保険が負担をし、残りの3割が自己負担になります。ほとんどの人が、任意の共済保険に加入しておりそこから3割自己負担分をカバーするという形式です。一見すると国民健康保険の7割の負担でかなりの金額をカバーできそうな印象ですが、上限120ユーロ(16,000円)までと決められており、任意の共済保険の還付額が多いプランを選ばないと自己負担金がかかってしまいます。
16歳までにかかる歯科矯正治療費に関してはこの計算式が適用されます。3年間継続して治療が続く場合に適用されます。しかし、16歳を過ぎるとこのシステムは例外を除き適用できなくなります。この様な事情からフランスでは早くから子供達が歯科矯正に通い始めるのかもしれません。
矯正歯科が細かく料金を提示しているケースはほとんど見受けられません。それは、患者さんの歯の状態はそれぞれ違い、一概にまとめられないという事情もあるようです。大体の目安として都市部と地方によって差はあるものの、半年の通院でかかる費用は450ユーロ(6万円)~1000ユーロ(13万円)です。650ユーロ(85,000円)が平均と言われています。一般に矯正治療は2年間を必要としますから、総額は1,800ユーロ(23万円)〜 4,000ユーロ(52万円)で、その平均は2,600ユーロ(34万円)です。
半年で650ユーロ(85,000円)の治療費がかかる場合、国民健康保険は半年で193ユーロ(25,000円)の還付が上限です。
半年で85,000円の治療費 − 国民健康保険が25,000円還付 = 差額 60,000円 は共済保険でカバーもしくは自己負担となります。そうすると、実質的に2年間の治療費総額は平均で24万円ということになります。
このように、自己負担の金額が大きいので任意加入の共済保険の還付額がポイントとなってきます。矯正歯科に通い始めると還付額が多い保険プランに変える家庭もでてきます。保険会社の還付率の一例をあげてみます。
1年間に払う保険料52,000円 (400ユーロ)
歯科矯正にかかる還付額 1ヶ月で 4,290円まで (33ユーロ)
1年間で51,480円まで還付される計算になります。従って、2年間の共済保険の還付額の合計は103,000円になります。24万円 − 103,000円で約14万円が最終的に自己負担となります。これに若干のオプション(メタル装置の場合は約10万円)が追加されます。合計は約24万円となりますので、やはり日本の矯正料金総額平均83万円と比較しても、格段に安いですね。
一通りの矯正治療を終えれば、保定(リテンション)という形で通院が続く場合があります。国民健康保険での還付は治療が始まり継続的に行われている限り最大3年間です。ですので、一般的な矯正治療の場合は国民健康保険と個人の共済保険で大部分がまかなえるようになっています。この任意の共済保険は、歯科だけでなく普段の内科診察などにも還付が適用されますのでほとんどの家庭が加入しています。