フラッター先生とミュー教授のディスカッション(前編 改訂版)
第29回動画は、ジョン・フラッター先生と、ジョン・ミュー教授のディスカッション、その【前編】をお送りしています。オーソトロピストの二人の巨匠は、同じ目的に向かって課題を共有しています。専門医からセラピスト、教育関係者から親御さんまで、多くの方にご覧いただきたい内容です。【前編】の10分間に続き、更に熱い議論をくりひろげる【後編】の10分間もあわせてご覧ください。
もし問題を抱えている患者さんの治療をしているなら
マイケルが使う「頭蓋顔面の形態崩落」という言葉は、
問題をよく言い表しています
「頭蓋顔面の形態崩落」を治す方法を知っていたなら、
誰もが治療に向かいますね
彼らは病理過程があることすら認識していません。
症状の一つは歯並びの悪さです
Mew 先生:生理的ですね
Flutter 先生:病理的ではないということですか?
Mew 先生:病理的かもしれない。
よく分からないが興味深い点だね
生理的と病理的の区別がはっきりわからないが、
私たちは成長について話しています
成長は病理的か生理的かのどちらだろうか?
悪い成長は病理的でしょうか?
F:私は病理的な成長であると思うよ
M:そうだね、それはすごいことだと思うね
F:頭蓋骨には12本の脳神経があります
頭蓋骨からの経路はとても重要です
頭蓋骨が歪むと脳神経の全てが歪んで伝達されます
M:多くのオーソトロピストが、頭蓋骨がどれほど
歪んでしまったかに気付いていないし
M:頭蓋骨の中の蝶形骨がどのようになっているか
理解していません
F:興味深いのは、ロバート・リケッツ氏は
違いを示しましたが
M:縦と横の成長パターンが
あまりよく分からないと言っていました
F:彼がよく言っていたのは
「セラ(sella)が大嫌いで絶対に使わない」です
私は、動くのならば治療法だと言いました。
もちろん動きます
M:小さい子供に限り、大きくではありませんよ
F:それで私は、ベイシオン・ナシオンを使っています
ナシオン(Nasion)を使って上顎の位置を測ったとしても、
ナシオンとの関連性は全く無意味ですね
M:そうだね、私の意見ではここまでだね
F:その通りです
F:ナシオンの上から20ミリ
M:いや、40ミリだよ
F:40ミリ? あぁ、そうですか
M:問題なのは20ミリだと気嚢についてしまうよ
人間の気嚢は入ったり出たりしません
F:ちょっと誤解しました、縦のナシオンのことです
私の講義で解剖学について話すとき
「頭蓋骨にはいくつ骨がありますか?」と聞いても
誰もわかりません。あなたの回答は?
M:覚えていません
F:耳骨内の6つの骨を含めると28個です
そこで「頭蓋骨には何個の骨が、歯を内包しているか?」と聞くと
正解者はいなく、誰もわかりません
M:口蓋骨にはいくつかありますよね
F:口蓋骨には5つあります
そこが私の言いたいところです
頭蓋の歪みのコンセプトを理解すれば
それが深刻な健康問題だとわかるでしょう
頭蓋骨の4つの骨は縫合しています
頭蓋骨の関係性を改善するなら
一番簡単な方法は歯を掴んで動かすことです
M:そのためには損傷しないように、
強い力を加えてはいけませんね
F:だから急速な口蓋の拡大はいけないのです
M:中くらいの速さがずっといいですね
F:速さの研究が行われたのは好ましく、
あなたの本を読みましたよ
M:子供の研究について、
もっと分かったらいいなと思います
F:エビデンスがあって、中くらいの速さで拡大したら、
それが正しい方法だとわかるでしょう
M:骨は動きます
F:特に若い人を治療しているならば
F:「頭蓋顔面の形態崩落」を防ぐなら
舌が収まる上顎アーチを作らなければなりません
加えて行わなければならないことは、
舌で変化を支えることです
2つのことをする必要があります。
上顎を拡げ、舌を口蓋に付けることです
更に、舌で支えることを訓練しなければなりません
M:下顎骨を上向きに維持しないと舌で支えられません
F:その通りです
F:私のクラスで皆に問うのですが
「奥歯を噛んで唇を閉じると、
舌はどこにありますか?」
「そして奥歯を2〜3ミリ離すと舌に何が起きましたか?
舌が下がったのは誰ですか?」と聞きます
半数ほどが舌が下がったと言うので、
「2ミリほど唇を開いてみましょう」と言います
「舌に何が起きましたか?」と聞くと、
全員が「舌が下がりました」と答えます
その程度に口を開けただけで、気道が広がり、
口呼吸が始まり、舌が下がります
問題はアーチ拡大という名前がふさわしくないのです
それは二つあるプロセスのうち、一つだけだからです
研究結果では後戻りすることが分かっています
M:必ずではないですよね
F:必ずではないですが、ほとんどです
F:私は30年の治療経験があり、
スキットルイット先生のアドバイスも受けました
F:(そのアドバイスは)未だに役立っています
M:舌が下がったからだよ
F:そう、舌が下がって口呼吸になったからです
M:かなり前にビヨークとスキラーによって行われた
興味深い治療法があるのをご存知ですか?
名前を憶えていないかもしれませんが、
彼は人体に骨マーカーを用いました
上顎の骨の幅を測り
当時の上顎拡大装置を使って
1週間に0.5ミリ拡大させていました
彼が発見した興味深いことは、頭蓋骨の幅
それは上顎骨と口蓋骨の幅が広がったとき
後戻りせずに維持できたことです
後戻りしたのは歯槽です
そのため歯も後戻りし、元の幅よりも悪くなりました
歯槽と歯であり、上顎ではありません
F:それは興味深いですね
そこで疑問に思うのが、どのようにして
舌を口蓋に位置させることができるかです
F:そうよく聞かれます
M:あなたの答えは何ですか?
F:私はマイオブレースの使用だと答えています
M:私なら6歳児に(バイオブロック)ステージ3を使います
F:ポイントは、マイオブレースは結果を得るための
単なる手段であるということです
患者さんに解決策を教えることが一番重要だと思います。
もし子供たちがエクササイズをすることができれば
それは解決策になりますが、
エクササイズをしなければ解決できません
M:そこが難題なんです
M:これまでの事例を見ると、患者さんは指導を受けて
いる時には、とても良くエクササイズを行いますが
指導後には、患者さん自身で行わない傾向にあり
それから数年という月日が経ってしまいます
F:全く同感です。私が言うエクササイズとは、
マイオブレースを装着することです
口腔内にマイオブレースを用いているときは、
唇と舌が(歯に)触れません
特に一晩中、触れていないのがいいですね
更に、舌を口蓋に付けずに、飲み込むことができません
この治療は簡単ではありません。私がシカゴ (AAO) で
話して以来、誰も講演の依頼をしてきません
理由は私たちが話したことが真実だからです。
ソフトロックはいいと思いますよ。
でもそれに頼りすぎているのは、どうかと思います
M:他に方法が無いからだよ
F:まさにそのことを言っているのです
M:だからおそらく私は妥協しませんが
(バイオブロックの)ソフトロックの優れた点は
子供たちは自ら口を閉じなければならず
それ以外に良い教え方はないと思うね
F:それについては同感だが、一つ意見が異なります
バイロブロックと組み合わせれば、できると思うね
でも、あなた方は一緒に行いませんね
そのことについてマイクと4年間も話し合っているが、
マイクは「なぜそうする必要があるのか分からない」と
クリニックでは子供に何かを教えられないでしょう
M:多くは無いけど
F:教育に関する多くの研究を見たでしょ?
7歳の子供がクリニックで何かを学べると思いますか?
M:それは面白いね、あなたは正しいですよ。
私は子供に口を閉じたままにする以外の習慣は教えません
そのことにほとんど全集中します
上顎を動かして歯を多少正しい位置に押します
それから私が教えることは口を閉じることです
ここが私たちの意見の別れ道ですね。