舌の役割について考えてみよう・・・FB記事のまとめです
【第93回ブログ】舌の役割について考えてみよう・・・FB記事のまとめです
舌の形は、歯型に似ていると思われませんか? 舌と歯列はいつも接しているので、当然のことながら、形は同じであるべきです。それではどうして、顎が狭いために歯並びが悪くなったり、顎が片方に変形してしまうのでしょうか?
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それは、上顎歯列に舌が接していないからです。舌からの側方圧を受けない上顎は、狭くなります。狭い顎は、出っ歯や開咬の原因になります。
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上顎の口蓋に付いていない舌は、下顎の中に収まっています。下顎の歯列を前に押し出すため、受け口の原因になりえます。
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写真は、下顎の歯型がついた舌です。周囲にホタテ貝のような模様がついています。これを、スカロッピング( scalloping )と言います。スカロップとはホタテのことです。舌が落ち込んでいる証拠です。舌を持ち上げて、お口の天井(口蓋)に付けるようにしましょう。
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【姉弟の違いは舌の位置だった】
お姉さんのミランダは9歳で、弟のウィーシャンは6歳です。お姉さんの舌は、上下の歯の間からはみ出ています。対して、弟の歯列はまともです。二人の顔の違いにご注目ください。
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お姉さんの顔は、鼻から下が伸びています。下顎も落ちています。対して、弟の顔は、立体的でとてもチャーミングです。同じ遺伝子を持つ姉弟とは思えませんね。
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二人の違いはどこからくるのでしょうか。直接の原因は、舌の位置です。お姉さんの上顎は狭く、舌を口蓋に付けることができませんでした。舌を口蓋に付けなかったため、上顎が広がらなかったとも言えます。
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さらに、舌が上顎を持ち上げることが無かったため、鼻から下が垂直方向に成長し、下顎も時計回りにダウンスィングしています。顔はのっぺりと長くなってしまいました。
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果たして、お姉さんのアマンダは、9歳からの矯正治療で、歯並びと噛み合わせを治せても、弟さんのような魅力的な顔に、改善することができると思われますか?
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【上下の歯を軽く噛んでいる】
数日前の TV で「噛んではいけない、噛めば肩こりの原因」と、内科医の先生が説明されていましたが、噛まずには生きられません。食事も摂れませんから。上下の歯を1日4〜8時間、軽く噛んでいるのが普通です。
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歯はナッツを噛み砕いたり、肉を食いちぎったりと、強い力に耐えられます。しかし、長時間の弱い力に負けてしまいます。写真のように、舌を挟んだだけで、歯はまともに萌出することが難しくなります。
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プロフィット先生は、噛んでいない歯は、徐々に伸びてくると言います。1日4〜8時間、軽く上下の歯を噛み合わせることによって、バランスが保たれているのです。
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口呼吸が原因で、お口を開きっ放しにしているお子さんの、臼歯はどんどん伸びてきます。そうすると、奥歯が当たっても、前歯が閉じない開咬になります。開咬の治療は一般的に、奥歯を押し込むことから始めます。
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【わかっていても、エビデンスが少ないので】
現代の矯正治療は、舌の役割を過小評価していると言います。オーソトロピクスを主宰するミュー先生は、舌の位置が、顎顔面の成長に大きな役割を果たすと考えています。
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しかし誰も、舌位置を調べたり、舌圧を研究したことがないので、あくまで仮説にすぎません。舌が、上顎の前方への成長を助けることは実証されていますが、この理論が実際の治療に用いられることはありません。
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残念ながら、舌位置と舌圧の測定ができないので、大学の研究者は及び腰です。そのため、このアイデアが決定的に重要なのか、一般の方々が知るすべがありません。