もはや、美は見る人の目のなかに無いのか?(副題: 審美に客観性はあるのか? )
第86回動画は「もはや、美は見る人の目のなかに無いのか?」というテーマでお送りしています。副題は「審美に客観性はあるのか?」ということで、あえて「 Beauty is in the eye of the beholder 」 というコトワザの逆説を述べています。顔貌を話題にすることはタブーとされてきました。「美は見る人の目のなかにある」というコトワザにあるように、顔立ちの良し悪しは個人的な感情であると考えられてきたからです。しかし、それは真実でしょうか? 客観的な美、共通認識としての美もありうるのではないでしょうか? 顔立ちが良い悪いというとき、大きく影響するのが鼻から下の中顔面、特にアゴの位置とバランスです。ジョン・ミュー先生は40年間にわたり、一貫してこの問題に取り組んできました。当初は「なぜ、歯並びが悪くなるのか?」という疑問からスタートし、「それは遺伝ではなく、ライフスタイルがアゴを変化させた結果」であると考えて、解決策を提案しています。アゴの問題は歯並びや噛み合わせの問題にとどまらず、顔貌の良し悪し、顎関節症、呼吸障害からくる睡眠時無呼吸症と、私たちの生涯を通じたQOLに関係しています。
お早うございます 顔についてお話します
私たち人間の顔についてです
なぜ いい顔とそうでない顔が
あるのかを 根本的に考えてみましょう
他の人と比べて 外見に恵まれた人が
いることをご存知ですね
(自分の顔を)嫌がっている人もいれば
ラッキーと思っている人もいます
現実にそれは 関心の違いから生じます
違うものを見ているからなのか
あるいは なぜ違って見えるのか
3つ目の疑問は それを
変えることができるのかどうかです
顔の改善に手術代を出す人もいれば
現状に満足している人もいます
この問題に新しい解釈を与えることが目的です
約30年前に2人の研究者が
生後6ヶ月の赤ちゃんの調査を行いました
赤ちゃんにとって いい顔とそうでない顔の
好みがあるかどうかを調べました
それは興味深い方法で行われました
赤ちゃんをお母さんの膝の上に乗せて
前方の画面を見せたのです
画面左に あまり魅力的でない顔があります
画面の右側には より魅力的な顔があります
単純に 赤ちゃんが(どちらかの)
画面を見ている時間を測ります
赤ちゃんは 魅力的な顔を
より長く見ていることがわかりました
あまり魅力的でない顔よりも長く
これは驚くべき結果でした
生後6か月の赤ちゃんが
画面に集中できるか疑問だったからです
しかし結果は明らかでした
後に 生後3か月の赤ちゃんでも
同様の結果を得られました
美の認識を持って生まれてきている事実を
受け入れなければならないと思います
その美しさが 何であるかを論じます
興味深いことのひとつは
顔面形態の とても小さな違いが
実際のあなたの認識に
大きな違いをもたらしていることです
2つの図をご覧ください
左側の図は 右側とわずかに違います
1ミリ以上の差はありません
一生涯でみれば とても小さな変化です
図からわかる通り
2つの横顔はとても異なって見えます
確かに 私たちの頭脳は
顔貌にある種の感覚を持っています
特に 顔の輪郭と 横顔に関して
横顔から顔の特徴を理解できます
正面から見るよりも深く理解できます
とにかく 違いを明らかにするために
いくつかの調査を試みました
ある特定の個人にお願いしました
図Bの顔貌の人で 上段中央にいます
オトガイを後ろに引いて 変化させたのが
向かって右側の図Cです
向かって左側の図Aは 唇が前方に出ています
興味深いことに 左下の図Eは
オトガイを前に出しませんでした
頬のラインを後退させることで
オトガイが前に出る印象にしました
以前に話した 頬骨の重要性を示しています
最後の写真は 下顎全体を後方に動かしました
これら全ての特徴はいずれも
5ミリ以下の小さな変化ですが
外見の違いはとても明らかです
その後 105人に聞き取りました
確か 全員大人だったと思います
どの顔が 一番美しいと思いますか
意見を聞いて統計を取りました
ご覧の通り
74%の人がBの顔を選びました
B以外を選んだ割合は 興味深いものです
ご覧の通り 人々が好まなかったのは
左側Aの 突き出ている唇の人です
それより一層好まれなかったのは
左下図Eの 平らな頬の顔です
それらは人々の評価順位がとても低かったです
そのことは 見た目のいい頬骨が
どれほど重要かを示しています
いい顔貌と あまり良くない顔貌の
どちらにおいても 頬骨は重要です
さらに興味深かった点は
私たちが最初に選んだ自然な顔が
最もいい顔だっただけでなく
その後に全員に 2番目の選択肢を聞きました
ご覧の通り 2番目の選択肢では
数値に大きな違いはありませんでした
それでも 平らな顔Eの
審美評価が最も低かったです
それ以外の評価は ほんの少しの違いです
この研究者が示したかったことは
単に どの顔が一番好まれるかではなく
私たちに共通する好みがあるとすれば
それは どのようなものかを示すためです
ここで分かったのは どのグループも
ほとんど皆が 特定の愛らしい顔を好みます
しかし その選択肢が否定されると
次には 大きく異なる好みを選びます
従って今までの常識を変えねばなりません
「美は見る人の目の中にある」という常識です
多くの場合 一般の人々は
完璧というわけではありません
そのため私たちは皆 異なる判断をします
これは(以下の)曖昧な考えに
基づいているためと思われます
外見の判断は個人的なものではないのか?
という考えです
共通認識ではなく(個人的なものだと)
調査は最終的にこのように示しました
どの顔が一番美しいかについては
誰もが賛同していますが
どの顔が良くないかについては
それほど賛同していません
それについて深く考えて学べる課程は
必ずしも多くありません