治療費の公的助成(オーストラリア矯正事情)

Part3)治療費の公的助成(オーストラリア矯正事情)

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3回目は政府および自治体の公的助成による、歯科治療と矯正治療が該当する条件について確認したいと思います。治療費の補助には、世帯の所得制限があります。また、公的助成による治療は基本的に、公立病院に付属する歯科であったり、大学病院の歯科であったりします。従って、矯正治療の場合は希望者が多く、2年ほど待たなければなりません。

一般歯科治療の具体例をあげれば、ビクトリア州のロイヤル歯科病院(RDHV)は53地域のコミュニティから患者さんを受け入れています。政府の下部機関である地域の保健所が、公的助成の窓口になっています。2013〜2014年のデータでは、ビクトリア州の24%の住民が医療補助を申請しています。歯科病院ではインターンドクター(研修医)が治療に当たっています。

それでは、公的補助で一般歯科治療を受ける資格のある条件をあげてみます。

  • 0〜12歳のお子さんは全ての歯科治療が無料
  • 13〜17歳のお子さんは、低所得者世帯・年金生活者世帯・障害者世帯については無料
  • 18歳までの育児施設入居者および孤児は無料

日本でもほとんどの自治体に医療費補助制度があり、お子さんの歯科治療費は無料となっていますね。

次に、矯正治療における公的助成の条件を見てみましょう。上の条件に加えて、

  • 一般歯科からの紹介状を必要とします
  • ムシ歯が無いなどの、口腔衛生状態が良くなければなりません
  • 見た目だけの改善を目的とする治療は受けられません
  • 17歳以上は、噛み合わせにおいて特別な問題を抱えている方に限ります

このような条件のもと、矯正治療の個人負担は、上記ロイヤル歯科病院の場合はAUD$326(3万円)です。

矯正治療をふくむ医療費助成の対象者には、所得制限があります。オーストラリア統計局(ABO)の2013年のデータによれば、低所得層は可処分所得の世帯年収が$24,700豪ドル(日本円で222万円)以下とのことです。また、オーストラリア国税局の2015年の定義によれば、世帯年収で$44,076豪ドル(日本円で400万円)+子供一人当たり$4,047(36万円)以下であれば、低所得世帯とみなされます。国税局の世帯年収は税引き前であり、かつ生活保護費や医療補助が含まれています。2014年のデータでは、20.4%の世帯が低所得世帯として、医療費補助がなされています。

次回は、一般歯科医と矯正専門医の棲み分けの問題について報告します。

青字は12月18日付けの訂正です)

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