【イタリア矯正事情part1】

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生え替わり時期の混合歯列期に矯正を開始することと、そのため抜歯が少ないこと、そして何と言っても、18歳までに治療を終える子供の割合が50〜60%という驚くべき数字です。

イタリアという国について

まずイタリアという国は、地中海の真ん中に突き出た長靴の形をした半島部分と、いくつかの諸島で成り立っています。地形は日本のように南北に細長く、北はアルプスに接していますが、残り三方はほとんど海に囲まれており、半島の真ん中を南北に長く山脈が通っています。首都のローマは半島のほぼ真ん中に位置しており、日本でいうと函館あたりの緯度の高さになりますが、函館とは比べものにならないくらい気候は温暖です。その面積は302,071K㎡で、日本の80%くらいの大きさです。一方、人口は2014年末で60,795,612人で日本の半分くらいになります。

イタリアの歯にまつわる事情 

イタリアという国は水道水の中にたくさんカルシウムが含まれているから、朝食にたっぷり牛乳を飲み、パルミジャーノレッジャーノチーズをはじめとするチーズ類をたくさん食べているからイタリア人は歯が強い、というイメージを国民が持っています。筆者が10年ほど前、小さいこどもが歯磨きを嫌がる話をすると、「まだ小さいのに歯磨きをさせるなんてかわいそう」、「子供の歯は強いから歯磨きは必要ない」とまわりのイタリア人に非難されたという経験があります。

2013年の国の調査によると、65歳以上の人口が全体の約5分の1を占めている高齢化社会ですが、14歳以上で全部が自分の歯という人は41.4%、1本も自分の歯がないという人は10.8%です。3歳以上で1年の間に歯医者に行ったが人は、全人口の37.9%という数字は、前回の調査に比べて少し減少していますが、長引く不況の影響下で、近隣のクロアチア、ルーマニアで安く歯科治療を行う人も多いです。

矯正の普及状況と治療について

イタリアはデザインの国だけあり、イタリア人も「美しさ」に非常にこだわる国民性です。こういった事情を反映してか、現在のイタリアでは、18歳までに矯正治療を受ける子供の数は、50%から65%にまで上ると言われています。筆者が20歳前後のローマっ子たちにしたアンケートでは約40%でしたが、現在8歳の筆者の子供のクラスでも、すでに20%の子供が簡易なものも含め、矯正治療をしているので、普及率はかなり高くなるものと見込めます。

実際に矯正治療をしている患者の比率は、大人と子供が1:7くらいで、圧倒的に子供が多く、そのうちの約60%が12歳以下の混合歯列期に当たります。イタリアでは、歯医者の大多数が、6歳児までに矯正が必要かどうかの診断を受けるべきと主張しています。まだ歯や骨が決定的に形作る前のこの時期に治療を始めることにより、簡単に早く、しかも経済的に治療が可能だというのが理由です。

混合歯列期に行われる第一期の治療に先立って、レントゲンをはじめとする各種機械で、頭がい骨と歯とあごの関係を徹底的に調査します。また、呼吸が上手にできているかどうかも噛み合わせの大事なポイントとなりますので、鼻孔の状況も確認します。指をくわえたり、おしゃぶりを長時間しているといった単純な癖をやめさせることで、歯並びをよくすることもできるので、できるだけ早い時期、3歳くらいからの診断を推奨している歯科医も多数います。

実際に、この混合歯列期に始めると、治療に伴う抜歯というのはほぼ必要ありません。また、夜寝ている間だけつける簡易な矯正器具による治療など、子供たちの精神的、肉体的な負担を軽減して治療ができる、というのも早期治療を推奨する理由です。

14歳以上の治療に当たっては、ほとんどが親知らずを抜歯しますが、それ以外に抜歯が必要なケーㇲは、非常に少ないです。

大人の患者はほぼ100%クリアアライナーによる治療を選択しており、全体の約10%くらいを占めます。リンガルテクニックはテクニックが高度なため、治療可能な歯医者はイタリアでは200人から300人と言われています。さらに治療費も通常より20%程高額なので、ほとんど普及していない、というのが実情です。

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