イギリスの歯科矯正事情

【第1回】イギリスの歯科矯正事情

9983480

イギリス(英国)は イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドからなる連合国です。ヨーロッパサッカーではそれぞれの国旗を振っていますね。人口は6470万人で日本の半分です。15歳以下の子供は1210万人(18.8%)です。16〜18歳の青少年は190万人(2.2%)です。従って、大人と子供の比率は 3.6 : 1 の割合です。全世帯平均の可処分所得は2014年データで25,600ポンド(410万円 1ポンド=160円として)です。勤労者世帯のみでは28,100ポンド(450万円)で、年金者世帯のみは21,100ポンド(340万円)です。イギリスにおける低所得世帯の定義は、世帯平均所得の60%以下とされ、15,360ポンド(250万円)以下の所得世帯で、全人口の21.6%、1360万人が該当します。

総合歯科協議会 (General Dental Council : GDC) の2015年10月報告によれば、歯科医師数は40,593人、矯正歯科医数は1,373人です。加えてイギリスには449人の矯正歯科療法士 (Orthodontic Therapists) がいます。矯正セラピストについては次回に詳しくご説明します。従って、人口10万人あたり、歯科医師は62人で、矯正歯科医は2人です。この数字は日本と大差ありません。矯正に先立ち、一般歯科の現状を概括してみましょう。

イギリスの歯科医療は3つのグループに分けられます。ところでイギリスには、日本の健康保険制度と同じ皆保険制度(国民全員が加入している政府管掌の健康保険)があります。NHS (National Health Service) と呼ばれていますが、実は日本の国民健康保険はこのNHSをまねたものです。

1)コミュニティ・デンタルサービス  一般家庭や福祉施設を訪問して歯科治療を行なう、特別な

歯科医療チームです。NHSが行なっています。

2)開業医による歯科治療  NHSが委託する保険診療と、保険外の自由診療のケースがあります。

3)病院による専門治療  保険診療による専門的な治療がほとんどで、歯科大学の学生研修も

受け入れています。紹介患者のみを受け入れ、入院や外科手術を

伴う治療を行ないます。

NHS保険医としての一般歯科医(General Dental Practitioners : GDP)は、2014/2015年のデータでは全歯科医の82%でした。日本の歯科保険医の割合はもっと高いと思うのですが、いかがでしょうか。

次回は、矯正治療におけるNHSのインデックス評価についてご報告します。

コメントをどうぞ


友だち追加