アメリカの歯科矯正事情 「お金が無いけど治してあげたい」

アメリカの歯科矯正事情

ローズアン・リドルさんの娘さんが歯科矯正の適齢期になった時、家庭は財政的にピンチだった。

「矯正しなければならないのに、主人は転職したばかりだし、歯科保険にも入っていないのよ。」

5,000ドルの治療費は、家族の年収の1割に相当する。

「子供に言ったのよ。食事と生活がまず先よ、矯正は贅沢だわ。でも、つらかったわね。」

リドルさんのように、多くのアメリカ人の家庭では、子供の矯正治療費の工面に苦労する。

一般的な治療費は6,000ドル(1ドル100円として60万円、今は1ドル110円であるが購買力平価で計算)である。平均的な世帯収入が53,000ドル(530万円)のアメリカにおいても、決して少ない額ではない。矯正医院を訪問した時、その値段にショックを受ける。
(中略)
どの家庭も歯科保険に入っているわけではない。歯科矯正もカバーする保険に加入している家庭は、約5割ほどであろうか。

ところで、アメリカ人は増々、我が子の歯並びを治すことに熱心になっている。
『ビューティー・プレミアム』という言葉がある。
外見の印象が年収に影響するという意味だ。
更に言うと、歯並びが出身階級を表わしていると言うこと。白くて真っ直ぐな歯は、中間層をイメージさせる。
しかし、歯並びが悪ければ、貧しさと差別をイメージさせる。

リドルさんは自分の娘が、歯並びのことでからかわれていることに気が付いた。
娘さんは内向的になり、写真を撮られるのを避けるようになった。
「つらかったわ。何とか娘を、元のようにしてあげたかった。」娘が高校生になった時、車を買い替える代わりに、治療費を工面するためにお金を貯めようと決めた。
ネット上で、治療費を割引してくれる医院を探した。
(中略)
リドルさんのような家庭は少なく無い。働いて収入があって、基本的な生活はできているが、蓄えが無い家庭が多い。矯正治療費の支払いには、様々なオプションがある。自院に来る患者さんのほとんどが、『この子はもう、矯正しなければならないけど、どうすれば支払いをできるかしら?』と聞いてくると言う。
矯正治療をカバーする医療保険に入っていれば問題ない。たとえば、民間の医療保険ならば年間2,500ドル(月2万円ほど)の支払いで済むだろう。ほとんどの医院では、無利子で24回分割払いができる。また、外部のファイナンスを利用する方法もある。しかし、最も大きな問題は、州政府の補助を受けられないほどに収入があっても、矯正治療を受けるには不十分な収入の家庭の子供たちだ、と言う。
(訳者コメント)

ここまで厳しい状況とは思いませんでした。アメリカの歯科矯正事情が垣間見えます。日本もこうなって欲しいとは思いませんが、歯並びは大切ですね。
※記事のソースはCBSニューズオンライン11月5日からです。タイトルは “The financial pain of getting braces

コメントをどうぞ


友だち追加