矯正治療後の生活とは?




第13回の医療従事者向け動画は【矯正治療後の生活とは?】というタイトルで、保定と後戻りの問題について解説しています。治療したけど戻ってしまってガッカリという感想は、実はとても多いのです。治療後の2・3年は、先生から言われた通りに保定装置をつけて寝ていたが、今ではその装置がどこにあるのかわからない。続けられなかった自分に責任があるので、言えないという人が多いのです。永久保定なしでも後戻りしない矯正方法はないものでしょうか?


矯正治療後の生活とは?
矯正で歯並びを治療するのはとても効果的ですが
治療後は保定が必要になります
治療前の契約書に小さい文字で書かれているのは
常套句として、矯正治療後は生涯にわたり
何らかの保定装置が必要になるということです
歯並びがきれいで素敵な笑顔になりたいという
強い思いのあまりに
保定装置のことをよく見落としてしまいます
私は患者さんに充分に説明しているのですが、心配なのは
ほとんどの患者さんはよく覚えていなくて、治療後に
生涯を通じ、保定装置が必要になることを説明したにもかかわらず
患者さんは驚きの目で私を見つめ
「歯並びを一生維持するのに何が必要なんですか?
一度整った歯はそのままじゃないんですか?」と聞いてきます
残念ながらそうではないのです
歯は唇と舌の間でバランスを保って位置しています
歯はそのバランスの取れた位置に戻ろうとするので、
矯正後は2つの選択肢があります
あなた自身が変わるか、保定装置を一生使用するかです
変わるのは簡単なことではなく
大人の矯正でよく勧めるのが永久保定です
子供の矯正では大抵、十分に変化させることができるので、
将来的な保定は必要ありません
しかしそれでも、永久保定が勧められています
いくつかの研究を見てみると
ベストな研究はおそらくウィリアム・リトル氏によるものでしょう
ワシントン州シアトル市で行われたものです
リトル氏は学生に10年後と20年後の追跡をさせました
それらはとても良く治療できた症例のみです
好ましい結果に仕上がった患者さんのみ、
再チェックしたものです
10年後・20年後に調査に応じる患者さんはおそらく
治療に満足していた患者さんなので、
この調査にはすでに偏りがあります
10年後の調査では、およそ60パーセントの人が
臨床的に不満足だと判断されました
おそらく、イギリスの無料公的医療機関で得られるのと同じレベルでした
20年後は91〜92パーセントの人が、
臨床的に受け入れられないレベルだと判断されました
なぜ再び不揃いになったかについて、あまり多くの要因が
見当たりませんでした。歯はただ単にまた不揃いになったのです。
捻転歯は戻ることがありますが、傾斜とIN/OUTは一定性がなく
後戻りするとき、以前の状態とはあまり関連性がありません
拡大が後戻りしたときに気付いたのが、過蓋咬合は後戻りしやすいことです
開口も後戻りしやすいです。個々の歯の後戻りの傾向を
調べるのは難しかったです
しかし、調査でわかった面白いことが一つあります
抜歯した人はよく後戻りしてしまう傾向があります
上下の小臼歯を抜歯したケースで
多数ではありませんが、2・3例に見られたのが
治療後に後戻りしたので再び矯正医を訪ねると、
矯正医からこう言われます
「あなたが小臼歯を抜歯したことは知っていますが、
歯並びを整えたいなら、他の小臼歯を抜歯しなければならないでしょう」
これは、とても一般的な見解です
そうなると、後戻りしたままの歯並びで、私の所まで来ます
犬歯は第一大臼歯に接していて、後戻りしています
矯正するときに、覚えておいてほしいのが
治療後に何らかの永久保定をしないなら
実際に治療する価値があるのかどうか、疑問に思います
多くのインビザラインのケースや、大人の矯正治療で
長期的に見たときの最終的なメリットは何か、
どれほどの有益性があるのかということです

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