大人の顔貌は変えられるのか？

【第106回ブログ】大人の顔貌は変えられるのか？についてです。

顎顔面の成長を誘導して、より魅力的な顔立ちにすることは、学童期のお子さんならば可能です。それでは、アデノイド顔貌のような、十分に成長できなかった大人の下顎を、前方に誘導することはできるのでしょうか？

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これまでは、外科矯正以外に選択肢は無いと思われてきました。今回ご紹介するのはその前段として、口蓋にねじ込んだスクリュー４本を用いて、上顎を拡大する装置です。正中縫合を割って広げるので、後戻りがありません。

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従来は、奥歯に固定した装置で広げていたので、装置を外すと後戻りしてしまいました。奥歯もしくは歯槽骨が傾いただけということが多かったからです。

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顎を広げて、舌を収め、前方けん引装置で上顎を前に出す。さらに下顎を上向き前方に誘導する。時間はかかりますが可能です。

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【治療の結果として気道を狭めてはいけない】

写真は矯正治療により、開咬（前歯が重ならない）を治療した大人のケースです。落ちていた下顎が、治療後に持ち上がっています。歯科矯正で顔貌を変えることができた例です。

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開咬の治療は難しく、一度治っても再発することがあります。写真では、当たっている奥歯を凹ませて、下顎を持ち上げています。この時点で、上下４本の小臼歯を抜いています。

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問題があるとすれば気道です。特に抜歯治療のケースは非抜歯に比べ、治療後に気道が狭くなりやすいです。狭い気道は、イビキと睡眠時無呼吸症（OSA)の原因となります。

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歯科矯正が気道に及ぼす影響について多くの議論があります。奥歯を後退させる術式が一般的に用いられているからです。影響なしという報告もあれば、訴訟問題になると心配する人もいます。

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【信頼性の高い口腔外科矯正】

最良の結果を求めるのであれば、ゴールデン・スタンダード・ケアと言われる、外科矯正があります。上下顎両方とも、もしくは下顎のみ、顎骨を切断して前方に移動し、金具で固定します。

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この方法であれば、顔立ちが良くなり、噛み合わせが改善し、さらに呼吸障害や睡眠時無呼吸症の解決に役立つかもしれません。

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この治療は、矯正歯科医と口腔外科医の共同作業となります。症状によっては健康保険が適用となりますので、個人負担は軽くて済みそうです。追加の情報は、外科矯正・Orthognathic Surgery ・Bimaxillary Surgery などから検索することができます。

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【仙台発の新しい術式：サージェリーファースト 】

サージェリーファースト という術式があります。今のところ健康保険を使えないのでハードルは高いのですが、大人の顔貌を変えるためには有効です。というのも、先に顎の手術をして、後から歯並び矯正する方法だからです。

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社会人にとって、顎の歪みや前後のアンバランスを残したまま、矯正装置をつけながら１〜２年を過ごすのは、心理的に耐えがたいものがあります。その点、サージェリーファースト ( Surgery First ) は、先に顎骨の問題を取り除けるので、その後の矯正治療を平常心で進めることができます。

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サージェリーファースト の利点はさらに、舌・唇・頬などの口腔周囲筋を、本来の理想的なポスチャー（位置と姿勢）に早めにセットすることができます。筋機能効果を活かせるので、その後の矯正治療がスムーズに進み、後戻りも少ないことでしょう。

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日本・仙台発のサージェリーファーストが、大人の顔貌を変えてくれるゴールド・スタンダード・ケアになるのも遠い未来ではありません。写真は eng.idhospital.com のウェブサイトを参照しています。

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【顎顔面包括歯科研究会について】

虫歯やインプラントに限らず、お口の健康をトータルに診ようという考えが、包括歯科診療です。その流れの延長に、噛み合わせや顎関節などの矯正歯科に関する諸問題もありました。

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包括歯科診療の範囲はさらに広がり、顔の歪みや非対称の問題、顎の前後的アンバランス（受け口やアデノイド顔貌）などの、顔立ちの変化にまで及んでいます。

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顎顔面包括歯科研究会（J−ITD) は、顎骨に埋め込むネジを用いて顎の歪みを取り除いたり、サージェリーファースト の手法を用いて顎変形症の大人の顔貌を治療する専門医の団体です。

18年8月末に仙台市で、サージェリーファースト の発足10周年を記念して国際的な学会を開催するとのことです。

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【上顎前方牽引装置】

口蓋にねじ込んだスクリューで、上顎を水平方向に拡大したのちに、前方に牽引する（上顎を前に引き出す）手段が必要です。前方けん引装置としては、フェイスマスク Facemask が一般的ですが、下顎に反力が作用するので好ましくありません。

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下顎を後退させずに、上顎を前方に引き出す装置として、写真のようなヒッカム装置 Hickham Appliance があります。しかし、この装置も下顎に反対向きの力が加わるので、完璧ではありません。

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大人の上顎を前方に引き出す装置については、今後の開発が待たれます。頭蓋骨をアンカーにするような、ヘッドキャップタイプになるのかもしれません。

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【大人のためのオーソトロピクス】

大人の顔貌を変えるうえで、これから注目される方法のひとつに、オーソトロピクス、またはミューイングと呼ばれる顎顔面誘導法があります。写真をご覧ください。上顎が拡大し、不揃いの歯並びが良くなっています。さらに・・

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上顎を拡大するとともに、前方に移動させています。それに伴って、頬骨も前方に張り出し、立体的な顔立ちになっています。さらに、下顎が持ち上がって、長すぎた顔が、バランスの良い顔へと変化しています。

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＃オーソトロピクス　＃ミューイング　の具体的な手法については、患者さんインタビューのYoutube 動画をご覧ください。外科手術によらず、どのようにして顔貌を変えることができたのでしょうか。

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