日本人(東アジア人)と欧米人の顔は何が違うのか?
【第113回ブログ】世界でもユニークと考えられている東アジア人の顔は、どうして生まれたのか? 欧米人との違いを理解することによって、その謎が解き明かされようとしています。
【正面顔と横顔の文化の違い】
欧米のコインには、一般的に横顔が刻まれていますね。正面顔では特徴を捉えるほどに細工ができないためです。もうひとつの理由は、欧米人の頭が前後に長いので、細く狭い正面顔より、横顔のほうが人柄を表現しやすかったからです。
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対して、アジア人の顔は平べったいので、正面もしくは少し斜めに描かれる肖像画が多いように感じます。横顔からは個性を見い出すことが難しかったのでしょう。
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横顔を、英語でプロフィール profile と言います。その人の経歴とか人物紹介の意味がありますね。つまり、欧米の文化には、横顔にこそ為人(ひととなり:人柄)が現れるという側面があります。従って、アゴの形はとても重要な役割を果たしています。
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添付した画像は、明治の洋画家、藤島武二の「女性の横顔」です。竹久夢二が「お葉」と呼んだ女性との解説がありました。
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【頬の位置が違う欧米人と日本人】
日本人が「ほっぺた」のことを頬と考えるのに対して、欧米人は、目の下から顎の線までを頬と認識しています。その理由は、欧米人の頬骨が低く、目から下が平らなため、頬骨と「ほっぺた」を区別できないからです。
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対して、日本人を含む東洋人は、頬骨が高いので、頬骨から下を頬(ほっぺた)ととらえています。東洋人の頬骨が高い理由は、頭蓋骨が前後に短いため、側頭筋が頬骨を横に張り出し、さらに発達した咬筋が頬高にすると考えられています。
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頬が平坦になりやすい欧米人にとって、東洋人のような頬高 ( High Cheek Bone ) は美しさの象徴であり、モデルやセレブの必須条件です。
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近年は軟らかい食事が増え、咬筋や側頭筋が細くなり、頬骨が小さくなり、目の下から顎にかけて平坦な顔立ちのヤングアダルト(15〜30歳)が多くなっていますね。
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【オトガイが突出している理由とは?】
猿になくて人間にあるもの、そのひとつはオトガイ(頤)です。下顎の先の突出した部分です。猿人からホモサピエンスへの進化の過程で、歯列が退化縮小したときに、残されたのがオトガイです。
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オトガイ(下顎)は、歯列と一緒に後退することなく、なぜ残されたのか? 理由は舌があったからです。下顎の内側には、肉厚の舌筋があり、舌の動きを活発にするため、つまり会話をするために、十分な舌スペースが必要だったからです。
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もうひとつの理由は、オトガイ(下顎)と一緒に舌が後退すると、ノドを圧迫し窒息してしまうからです。このことから導かれる事実は、顎の小さい人、顎が後退した人は、コミュニケーション力が乏しく、生命力が弱いということの表れです。
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写真のように、日本人のオトガイが、欧米人ほどに目立たない理由は、歯列が後退していないためです。それは頭蓋骨が前後に短いことと関係しています。頭蓋骨の長短については、次の文面をご覧ください。
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【アジア人の頭が前後に短い理由】
インド・ヨーロッパ人の頭部が前後に長いのに対して、日本人を含む北東アジア人の頭部は前後に短いですね。その理由は、寒冷地対応にありました。
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アフリカで生まれた人類の祖先、ホモサピエンスの一部は中東からインド・東南アジアを経て、シベリアや中国北東部に移り住んだと言われています。
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近年のDNA解析により、東南アジアの人々も、北東アジア人のDNAと共通することがわかってきました。縄文人と弥生人のルーツは同じだったということになります。
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冷えた固い肉をかじったり、動物の皮をなめすことにより、側頭筋と咬筋が極度に発達しました。これが、頬骨を左右と前方に大きくしたので、頭が前後に短くなり、顔が平坦で四角っぽくなリました。
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マイナス50度を超えるシベリアの生活に適応するために、身体が進化しました。凍傷を防ぐために耳と鼻が小さくなり、効率的に皮をなめすために、大きなシャベル状前歯となり、前後に短い平坦な顔から、歯列が前に飛び出たと考えられます。
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同じ頃に、アフリカからヨーロッパに渡った欧米人のルーツが、北東アジア人と異なる進化をとげたのは、北大西洋暖流のために、マイナス20度程度にしか寒くならなかったからと言われています。
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