92%の子供にみられる睡眠時の呼吸障害
第110回動画は、ドレク・マホーニー先生と、マイク・ミュー先生の対談です。「92%の子供にみられる睡眠時の呼吸障害」というタイトルでお送りしています。矯正治療のために他医院から紹介されてきた、7歳から9歳までの子供の患者さんの、実に92%に睡眠時の呼吸障害が認められたということです。15年間で1400人におよぶ子供の患者さんのデータですから、信頼性があります。92%とは、ほとんど全てということですね。
矯正治療後に呼吸気道が広がり、睡眠の質が良くなるとともに、行動や性格が変わり、学業成績も向上したと親御さんに喜ばれるそうです。矯正歯科医は子供さんの睡眠と不正咬合を関連づけて、治療を行うべきであるとマホーニー先生は訴えています。鼻つまりや口呼吸が習慣化しやすい6歳には、マネージメントを開始し、早い機会に上顎の水平前方への成長をはかるべきと考えています。
良く眠れない不正咬合の子供たちを、どうして永久歯が生えるまで待つという選択肢がありえるのでしょうか? 成長ホルモンとADHD、好ましい顔貌にもつながるこのタイミングを逃していいのでしょうか?
レク・マホーニー先生をお迎えしています
先生は オーストラリアで最も有名な
非主流派の矯正歯科医の一人でしょう
先生は英国で訓練を受けた認定矯正医ですね
D:その通りです
先生はずいぶん非難されていますね
非主流派であり 従来の矯正治療法を
行っていないだけでなく
一般の矯正医や歯科医に教えているからです
少し不当に非難されていると思いますよ
D:ロバート・リケッツ先生から学びました
先生は 講義中に掃除人が
入ってきても気にしないし
人々を助けることを学ぶなら
歓迎すると言いました
私は大学院に進めて幸運だと思っていますが
私たち専門医に
全ての知識があるとは思っていません
素晴らしい矯正治療を行う
優れた一般歯科医がいます
オーストラリアのように
広い国土に多くの人口がいる国では
皆誰しも 矯正専門医に通うことはできません
だから私はその点で実に積極的です
学びたい人は誰でも学ぶことができる点です
M:最近の先生のお仕事に
非常に感銘を受けました
今日教えて下さったことは本当に驚きました
簡単に紹介してくださいますか
D:過去15年間にわたり 矯正治療目的で
紹介された患者さんのデータを集めています
私達は研究対象とする患者さんを
7歳から9歳までの子供に限定しました
不正咬合の治療のためだけに
歯科医から紹介された子供たちです
医師や耳鼻科医からの紹介
口コミなどでも来られました
私は他とは異なるひとつの事を行いました
全ての患者さんの 睡眠研究を行いました
不正咬合の人と 呼吸障害がある人との
相関性を見ました
私が読んだ 以前の研究によると
実際は 患者さんに睡眠に関する
アンケートをとっただけでした
実際の睡眠研究ではなかったのです
それによれば 不正咬合のある
子供の17%から30%ほどが
呼吸問題を抱えていました
膨大な実例のある 私たちのデータでは
92%を示しました
何故ならば 無呼吸や低呼吸の
状態だけを測ったのではなく
RDIの抵抗値も測りました
(RDI:呼吸障害指数 AHIと同じ)
厳密な意味での 無呼吸症ではない
多くの子供がいることが分かりました
鼻閉などによる呼吸障害がありました
M:睡眠時無呼吸は複合的だとわかりますね
D:その通りです
M:これとそれを掛けて
あれを足すと答えが出ますが
M:全員に当てはまりません
D:まさにその通りです
睡眠学の父でありAHIを開発した
クリスチャン・ギルミノー先生は
数字に対処するのではなく
患者さん個人を見なさいと言いました
先生はスタンフォード大学で熱心に
筋肉や 舌のポスチャーを見ました
睡眠時に気道の潰れを防ぐためです
M:先生は今どの方向へ向かっていますか?
博士号を取得した後のゴールは何ですか?
先生は 呼吸とその問題に関して
情熱がありますね
私たちが常に話してきたことに
新たな次元を加えました
D:歯科矯正医という私達の専門性が
技術革新で失われていると思います
今では患者さんが 自分でアライナーを
作ることができます M:そうですね
そのため患者さんは 矯正医を単に
歯を並べる人と見なしています
もはや専門医だけの業界ではなく一般歯科医も
インビザライン矯正を行っています
矯正歯科医は 子供の睡眠と不正咬合の
相関性を見るべきだと思います
私達はこれを何度も議論してきましたね
お父上は 不正咬合は遺伝性の問題ではなく
後天性と考えて最前線でご活躍していますね
M:それと環境による影響ですね
D:環境と舌ポスチャー 気道もあります
M:重要なこの概念をずっと伝えています
頭蓋顔面の形態崩落と関連づけています
顔の全体的な構造変化です
気道(圧迫)は数ある症状の一つです
症状を挙げると 耳鼻咽喉や気道
そして 歯並びの問題があります
私達は狭い視野から抜け出す必要があります
大きな視野から全体を見るためです
D:その通りですね 親御さんに
お子さんの気道の3次元映像を見せると
気道がどれほど狭いかを理解できます
形態的矯正後に再び3次元映像を見せると
顔貌の改善や 歯のスペースだけでなく
お子さんの行動の変化も見られると言います
勉強の成績が向上し よく眠れています
多くの親御さんから子供の歯並びだけでなく
性格も良くなったと感謝されています
親御さんに 呼吸気道の問題や
子供の睡眠障害を話すと
歯並び矯正について 何かを話すよりも
はるかに良く理解してくれます
M:現時点では残念ながら
睡眠障害のある子供の 多くの親御さんは
私達が何を言っているのか理解できません
D:その通りです 矯正歯科医が主として
口呼吸や 狭い口蓋 交叉咬合
歯ぎしり 肥大した扁桃腺などを
チェックすべきだと思います
私が矯正学講座を卒業した時には
歯列だけに注目していました
アングル分類のクラス1
シックス・キーに収めることが仕事でした
そのために(顎を)後方へ動かしますが
子供にとっては良くないことです
研究で分かったことを
皆さんに知らせなくてはなりません
れは残されたパズルの1枚だからです
これで全てが非常に良く収まります
D:この研究から 矯正歯科医に
理解してもらいたいのは
側面セファロを使って CBCTに依らずとも
舌骨の位置を測定し 上顎の位置を見ます
SNA82度の概念から
抜け出さなくてはなりません
子供の気道に関して言えば
上顎の位置が一番重要です
私が診ている 不正咬合の子供達は
なぜ上下顎ともに未発達なのでしょうか?
それは呼吸に問題があるからです
M: 構造的な変化が起こっています
それは機能的な形態変化ですね
誰もが信じたくないことですが
全体的に顔の形が正しくありません
M:そのことに反対意見が多くあります
D:同感です
この心理的変化が起こると
私がよく言うのは
これは顔のある人だけに関心があります
顔のない人には関心がありません
時が経つにつれ顔の形が変わり
パスポートの写真は誰かと思うでしょう
時が経つと遺伝的可能性が十分に発揮されて
いないかもしれません D:その通りです
M:人々が認識すれば変わると思います
私たちが最大の反論を乗り越えたのち
皆さんが耳を傾けてくれることでしょう
M:私達に関心を持ってくれるでしょう
D:その通りです
M:ご存知のように 健康や顔貌
そして教育の面などですね
おそらく長寿に関してもです
不正咬合がますます悪化してくれば
次に何が起こるのでしょうか
D:誤診や治療されない睡眠時無呼吸が
医療費を増大させるということですか?
M:睡眠時無呼吸が常態化していますね
よく言われるのが良質の睡眠薬を売れば
M:地球上で最大の売上になるでしょう
D:その通りですね
単に眠らせるのではなく 良質の睡眠です
肥満の概念について話すと
太った人は睡眠時無呼吸になりますか?
それとも睡眠時無呼吸だから
肥満になる食物を欲しがりますか?
D:睡眠不足に関連して多くの
ホルモン変化の研究があります
ステージ3の深い睡眠である
ノンレム睡眠に入れません
睡眠の質が悪いと 体内の自然な
食欲抑制物質が分泌されません
それが悪循環のシナリオだと思います
睡眠の質が悪いほどに よく食べます
多く食べるほど肥満が無呼吸にさせます
最新の研究ではBMIを10%下げれば
AHIを3分の1まで下げられます
その数値はとても大きいです
現代社会に広まっていることは
不正咬合と肥満 そして睡眠時無呼吸です
M:因果関係は完全に明確とは言えません
D:その通りです
不確かな部分なのでもっと研究が必要です
もっと広報が必要です これは糖尿病や
心臓血管の問題について言及していません
ところで 睡眠時無呼吸がADHDを
(ADHD:注意欠陥・多動性障害)
引き起こす可能性があるかに関して
これは大きな話題で 検証が必要です
様々な専門医がこれに関与していて
雑談しながらこう言っているようです
それは遺伝によるものだと
D:それには同意できません
遺伝なら全て運命づけられていますよね
M:上手い言い方ですね
D:私は自らの治療で
30年間これをやってきました
顎の成長をはかり 前方牽引を行い
子供の気道を変えられれば
必ずや子供の睡眠や学校の成績が改善します
そして顔貌も良くなります
それは長年の父のミッションでもあります
マホーニー先生 ありがとうございました