サラさんの MFT概論
第111回動画は、「サラ・ホーンズビーさんの 口腔筋機能療法 MFT の概論」と題して、サラさんの最新プレゼンからピックアップしてお送りしています。動画のなかで出てくる用語の中から、「理学療法」「上気道抵抗」「タングスラスト」「メンター」について簡単に解説を加えています。
「理学療法」は医療従事者には常識でも、一般の方にはあまり馴染みがありません。この場合は、口腔筋機能療法が「理学療法」の一種であるということです。身体機能の一部が十分に働いていない、もしくは障害がある状態を改善するセラピー(療法)です。治療を施す人をセラピストとも言います。療法には運動療法・物理療法・動作訓練(リハビリ)などがあります。近年は予防も含むので、健全な顎顔面成長をはかることも、口腔筋機能療法 MFT の注目すべき分野です。
「上気道抵抗」は Upper Airway Resistance Syndrome の訳で、閉塞性睡眠時無呼吸 Obstructive Sleep Apnea とまでは言えないが、上気道が狭いために睡眠障害を生じている状態です。アデノイド顔貌の人は顎顔面成長が十分でなく、下顎とともに舌が後退していることが多く、もともと呼吸気道が狭いケースが多いです。睡眠時に筋肉がゆるむと、ますます舌が下がり、呼吸気道を圧迫します。睡眠時に呼吸が止まるほどではないが、呼吸しずらい状態が長く続くので、良質の睡眠を得られません。眠い・だるい・うつ気味・注意力が散漫などの症状にみまわれ、加齢とともに症状は悪化します。
「タング・スラスト」Tongue Thrust を、日本の歯科業界では「舌突出」または「舌突出癖」と訳していますが、イメージが一致していません。「突出」には前に突き出すイメージがありますが、横のはみ出しも「タングスラスト」ですし、舌で歯の裏側を押すことも「タングスラスト」です。舌を口蓋に当てて飲み込むことができれば、問題ありません。しかし、舌を下顎に載せたまま吸い込むように飲み込むのであれば、それは「タングスラスト」です。大人の半分が正しい飲み込みをしていないと言います。
「メンター」Mentor は先輩・助言者・教育係りのような意味です。動画のなかで出てくる マイオ・メンター Myo-Mentor については、以下のサイトからご覧いただけます。 http://www.myomentor.com この他に、サラ・ホーンズビーさんが主宰している Facebook グループ、 Myofunctional Therapy Support Group もご参考にしてください。
今回お話しするのは
筋機能療法の短時間集中コースです
私は筋機能療法士として教えています
患者さんの指導にとても忙しい毎日です
筋機能療法の基礎についてご説明します
皆さんのお仕事に役立つと嬉しいです
私が患者さんを診るポイントについて
それでは始めましょう
基本的な(筋機能)療法の概要です
タングタイ タングスラスト 口呼吸が
これらの症状が どのように呼吸気道と
睡眠時無呼吸に関連しているかを話します
患者さんの症状の見分け方をご説明します
私の経歴は歯科衛生士です
イースタン大学卒で シアトル近郊出身です
筋機能療法を開業したのは2010年です
当初はシアトル市西地区のオフィスでした
レドモンドに第2のサテライト
オフィスがありました
とてもうまくいっていましたが
とても多くの人々が 他の街 他の州
他の国から連絡してきました
誰もシアトルまで通院できなかったので
2014年にオンラインでの診察を始めました
実際には2015年だったと思います
マイオ・メンター (Myomentor) という
セカンドビジネスもあります
筋機能療法に関する 歯科衛生士と
歯科医師のための 教育訓練のサイトです
筋機能療法に関して 皆さんが
理解していることが大切だと思います
特に私の患者さんには
私個人の体験を知っていただきたいです
(私自身が口腔)筋機能療法の訓練を
受けていた時にわかったのが
私自身が タングスラストや 口呼吸など
口蓋が狭く (口腔)筋機能に関する
多くの問題を抱えていました
それについては別な機会にお話します
まず明確にしたいのは この分野の
混乱しやすい専門用語です
調べてみてほしい3つの用語は
(口腔)筋機能療法 口腔顔面の筋学
タングスラスト(舌突出)療法です
全て同じことを意味していて
基本的には理学療法です
理学療法とは何かを想像できれば
筋機能療法の作用効果を理解できるでしょう
基本的にエクササイズを教えています
とてもシンプルなエクササイズです
何よりも舌をよく回します
舌の不具合には2種類あります
一言で言うと タングタイがあります
生まれつきの身体的な障害が タングタイで
多くの場合 小帯切除という手術が必要です
おそらく以前に聞いたことがあるでしょう
タングスラスト(舌突出)は習慣性の
飲み込み方で 口呼吸が原因です
タングスラスト(舌突出)は純粋に筋肉と
不適切な筋機能に関連しています
両方とも同じ問題を引き起こし
呼吸気道に大きく影響します
タングタイならば
舌を口蓋に付けるのはとても難しく
ほとんど不可能かもしれません
タングタイの人は 唇を開いていて
口呼吸している傾向があります
タングスラスト(舌突出) の人はその反対に
子供時代に(鼻で)呼吸できませんでした
3~5歳の頃に アレルギー性の鼻つまりや
肥大した扁桃腺 アデノイドが原因です
そのため タングスラストが習慣化します
両者の原因は違っても
生じる問題に類似性があります
(口腔)筋機能療法における
私の重点ポイントは呼吸気道です
舌は呼吸気道に重要な役割を果たします
舌が正しい位置にあれば
呼吸気道は開いていますが
舌が正しくない位置にあれば
呼吸気道を圧迫してしまいます
この説明はとても大まかですが
事実たくさんの調査研究から
タングタイや 口呼吸の子供は
睡眠時無呼吸になる傾向があります
それは子供の話だけではすみません
子供時代に口呼吸やタングタイだった人は
大人になってから
睡眠時無呼吸になる可能性が高いです
私もそのうちの一人でした
睡眠時無呼吸は 年を重ねた
太り過ぎの人がなるものではなく
若くて細い人でも
睡眠時無呼吸になる可能性があります
それは舌と気道の大きさに関係します
私自身がこの問題を正さなかったら
上気道の息苦しさになっていたでしょう
あるいは閉塞性無呼吸の可能性もありました
呼吸法と舌のポスチャー(位置)を変えました
自分の口腔内の多くのことを改善したので
結果的に悪くなるのを防止できました
それはとてもとても重要なことです
誰もが舌の役割を見過ごしています
共有のためネットで検索したところ
睡眠時無呼吸は 体重増や 首の太さ
鼻柱隔が偏った人や
アレルギー性疾患が原因と思われました
従って氷山の一角にいるようですが
実際には問題は2分割されています
舌が正しくない位置にあれば
気道を塞いでしまう可能性があります
全く考慮されていない他の問題とは
頭蓋顔面の成長 および顎の成長
そして歯列弓(アーチ)の発達です
口呼吸とタングタイのある子供においてです
顎と顔の成長発達を変えてしまっています
そのため(顔の)構造が損なわれています
舌が不正な位置にあるだけでなく
未発達の顎 狭い歯列弓(アーチ)
小さい口腔エリアになるので
口腔内の舌のスペースが十分確保されません
このコンセプトをご理解いただければ嬉しいです
気道問題の根本原因を探ろうとしています
睡眠時無呼吸 上気道の息苦しさなど
イビキもこの話題の一環です
これらは同じ問題から生じる様々な症状です