【後編】良くない口腔ポスチャーのコストと予防



第151回動画は、「良くない口腔ポスチャーのコストと予防」の【後編】です。ビル・ハン先生とマイク・ミュー先生の対談をお送りしています。前半のポイントは、アゴの成長不足が歯並びだけでなく、睡眠時無呼吸の原因となり知能指数 IQ を下げるため、生涯年収(コスト)に跳ね返るというお話でした。後半は、「なぜ歯並びが悪くなるのか?」という活動から、お母さんへ働きかけることが肝心だというのです。

ネット社会のなかで、どのお母さんもお子さんを心配するあまり、徹底して情報を集め勉強しています。「なぜ歯並びが悪くなるのか?」との問いに、答えは唯一「予防」にあるといいます。母親自身が若いときに抜歯して、歯列を後退させて治療してしまったため、頭痛や顎関節痛、睡眠障害を経験しています。自分の子供を同じ目に遭わせたく無いと、必死に勉強しているからです。

第2のポイントは、従来の矯正法ではアゴの前方成長を期待できないことです。アゴを横方向に拡大する治療は一般的ですが、前方への成長を促進する方策はとられていません。その原因は、呼吸障害と睡眠時無呼吸がアゴの前後の問題であると、十分に理解されていないためです。フェイシャルマスクという前方牽引装置がありますが、効果は限定的でありあまり普及していません。

M:「なぜ歯並びが悪くなるのか?」
 の活動についてお話しください
H:この活動を母親に知ってもらうためです
 母親が成功のカギになります
母親が子供をクリニックに連れてくるからです
ネットの普及で 皆さんが全て知っています
私の医院に来て ご自身の考えを述べて
「こうして下さい」という方もいます
ネットで詳しく調べて高度な質問をします
私について 私より知っている方もいます
 ちょっと怖いですね
でも 母親がとても心配しています
私の医院に来る患者さんの多くは
 特に母親ですが 
従来の矯正治療を受けて 小臼歯を抜歯し
ヘッドギアを付け 後方へ下げる
 牽引治療を受けた方々です
そのため慢性的な痛みを抱えていたり
 よく眠れていません
なので 子供が同じ目に合わないように
 懸命に努力しています
 何が何でも 子供が
悲惨な目に合わないようにしています
活動はそこに焦点を当てるべきです
私には2人の義理の娘がいます
とても優秀で良いお母さんたちです
ママ友とのコミュニケーションに
 時々笑ってしまいます 
 私の妻とのジョークに
「ネット以前はどうやって子育てしていたの」
 (娘に向かって)
「私達の子育ては全て間違っていたのよ」
現代の母親はとても情報に通じています
瞬く間に 他人から情報を入手しています
情報を入手することに積極的です
州外から私の医院に来る患者さんもいます
今住んでいる所では治療を受けられないからです
 とてもやりがいを感じます
M:私にもヨーロッパ中から
当院へ来てくれる患者さんがいます
M:大感激ですね
H:そうですね
M:ビル先生は「予防」に関して
 私と同じぐらい情熱的ですか?
マイケル(私)が あなたのビジネスを
台無しにするのではと心配している
H:医療従事者が目指すべき目標は
その必要性を無くすことです
皆が自ら健康であるように努め
私たちは健康的なライフスタイルを教えます
まずは私たち自身で始めなければなりません
健康的な食事と 運動をして
模範を示さなければなりません
患者さんやご家族のためです
それができたら 他の人にも伝えるべきです
それがこの歳になっても働いている理由です
問題のある患者さんを見るとガッカリします
特に見過ごされた子供の患者さんを見ると
唇を離し 口を開けっ放しにしている子供です
私の医院に来る10歳の子供で
永久歯が生え揃っていると
もはや適切な治療には遅すぎます
その年齢に従来の矯正を行っても手遅れです
その状態で来院される患者さんが
お気の毒で 治療に前向きになれません
矯正治療をやりたくありません
睡眠時の呼吸障害がある子供はすぐにわかります
落ち着きがなく飛び回っています
学校の成績は良くなく 気にかけられていません
M:そのような子供は薬を処方されています
米国では民間の保険会社に頼り
英国では国の健康保険ですが大金がかかります
H:一年前にとても可哀想な子供が来院しました
彼の話で どれだけ世の中が
おかしくなっているかがわかります
11歳の男の子が 睡眠時無呼吸だと
キャンプ指導員によって発見されました
なんと悲惨なことでしょう
キャンプ指導員が 子供が夜中に
呼吸が止まっているのを目撃して
耳鼻咽喉科医に診てもらうように言いました
医師は子供が睡眠時無呼吸だと確認しました
小児科医は何も気がつきませんでした
その子が椅子に座っていると 眠っているように
見えるだけでなく半分死んでいるように見えます
 彼と対話しようとしても
脳内の神経細胞が繋がっているかわかりません
この年齢の子に 私は何ができるでしょうか?
オーソトロピクスを行える年齢を超えています
 そこで何をしたかというと
(歯列弓を)拡大し続けました
従来の矯正法がやっと重要性を理解し始めました
睡眠時無呼吸について対処しなければならないと
20年ほど経って 呼吸気道と睡眠時無呼吸について
やっと専門医が認識し始めましたが
彼らの対処法はただ(顎を)拡大することです
(顎の)前後の問題に 拡大では対処できません
お父上は前後の問題だとお話していますね
M:ダウンスイング(下向き後方)です
H:睡眠障害のある人々が理解していないのが
原因は顔の前方成長が足りないということです
睡眠に問題を抱える人はこのことを理解せずに
 肥満が原因だと思っています
 確かに肥満は問題ですが
実際は問題を抱える多くの患者さんは痩せています
 しかし顔が下向き後方です
先ほどの11歳の子供の話に戻りますが
私は歯列弓をとにかく拡大し続けました
 限界まで拡大したと思います
悲しいことに その子はまだイビキをかいています
彼の年齢ではオーソトロピクスを行えません
お父上はそのような条件下でも
とても感銘的に前方移動させています
その子供は11歳までに かなり 
脳にダメージを与えてしまったと思います
そのため正常に回復するかどうかわかりません
もっと影響力のある睡眠医学の専門家にも
 同様の話をしています
とても悲惨な状況です 11歳の子供は
健康診断で小児科医に診てもらっているのに
問題があることを気付いてもらえませんでした
その子供さんは裕福な家庭に育ち
小児科医に頻繁に診てもらっていたのに
キャンプ指導員が睡眠時無呼吸を発見したなんて
 なんと悲惨なことでしょうか
M:私達は認識を高める必要があります
H:まさにその通りです
M:協力して行わなければなりません
 一人では回答を出せません
H:同感です 認識を高める活動を行いましょう
 山の頂上に登って叫んででも
皆さんに認識してもらいたいです
15歳の時に歯科医になろうと思いました
理由の1つは医者になりたくなかったからです
人の生死を決める心配をしたくなかったからです
何十年も歯科医として働いていますが
今まさにその立場にいることを実感しています
人の寿命に影響を与える立場にいます
皆さんが私の言うことを聞いてくれれば
長生きで健康な生活を送れると信じています
皆さんが実践すれば 私より良い顔になれます
M:顔立ちの良さは長所です
H:妻が私と結婚してくれてラッキーでした
私の子供たちは 見た目も気持ちも良くて
幸福な人生を送れると思います
私たちは長生きし健康になっていますが 
まだ改善の余地があります
そこに辿り着く唯一の方法は「予防」です
M:ビル先生 どうもありがとうございます
H:この活動が 多くの人に
 知られることを祈っています

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