デーモンワークブックから、コーディの場合



第141回動画は「デーモンワークブックから、コーディの場合」と題して、ドレク・マホニー先生が早期治療のメリットを解説しています。前歯4本に取り付けたブラケット(ブレース)と、第一大臼歯(6歳臼歯)に取り付けたバッカルチューブ(ブレース)にアーチワイヤーを通します。側切歯と大臼歯の間に、圧縮コイルスプリングを掛けます。圧縮コイルの伸びようとする力が、上顎歯列を水平方向に成長させます。

この 2×4 テクニックは、床矯正や RPE のような上顎拡大装置の代わりになります。舌を遮らないので、舌を口蓋につけていることができます。舌の内側からの力が、さらに上顎歯列を成長させます。また、コイルスプリングが頬筋を押しのけて、マウスピースと同じ働きをします。

ドレク・マホニーです
混合歯列期治療の近況をご報告します
9歳から11歳までの子供たちです
混合歯列期におこなう治療は
歯が萌出するスペースを作ります
さもないと抜歯しなければなりません
デーモンシステムのポスターに掲載の
コーディ・バンクス君を見てください
彼の症例はデーモン先生により治療され
マニュアル本に掲載されています
マニュアル本はもはや購入できませんが
スキャンしたものを喜んでお送りします
コーディの側貌で注目して欲しいのは
顎がしっかり成長しているので
絶対に抜歯をお勧めしません
(抜歯すると)唇が平らになり 
 側貌が魅力的でなくなります
 問題は彼の犬歯です
4本の犬歯スペースがありません
 犬歯が大きすぎたり
歯の本数が多すぎるからではなく
口蓋が狭いのが問題です
モーリス先生の症例では
歯列の発達について述べています
第一大臼歯間の距離(内幅)が
 37ミリ以上なら
歯が不揃いになることが少ないです
コーディの距離はとても狭いです
彼の嚙み合わせはクラス2級です
(クラス2級は上顎前突)
上顎が狭いため 下顎が発達できません
4本の犬歯を見ると
全くスペースがありません
未萌出の歯が1本 部分的な萌出歯が1本
上顎犬歯の先端が見えます
このような状況ではどうしますか?
私が歯科矯正を学んでいた頃は
叢生がひどく スペースが無ければ
何本も連続抜歯しました
今は 叢生の程度を測るのではなく 
 顔貌を診ます
抜歯するのは 顔がしっかり成長していて
抜歯により引っ込ませる必要がある場合です
顔が平らな場合は 抜歯をお勧めしません
ではいかにスペースを作るのか?
4個のブレースだけで始めます
(前歯の)傾きを抑えたいので
トルクの少ないブレースを使います
セクショナルワイヤーを用いて
4本の前歯を揃えます
これは 014 CuNiTiワイヤーです
(4前歯が)揃ったら強いワイヤーに変えます
14x25 CuNiTiワイヤーが使いやすいです
圧縮コイルスプリングを使います
どれくらい圧縮するかと言えば
末端の大臼歯から側切歯までの距離をはかり
ブラケット1個分の幅を活性化(圧縮)します
(大臼歯)ブラケットの近心端と
(側切歯)遠心端の間にコイルを掛けます
必要なスペースの確保に最適な活性量です
前歯を傾けるのでありません
前歯を傾斜させると非常に不安定になり
 患者さんの側貌が変わります
横方向に発達するのでフランケル効果と同じです
2x4を使うときは口腔筋療法士と共に行います
舌を口蓋に付けることが重要です
舌が口蓋に付き コイルスプリングが頬筋を
押しのけていれば まさしくフランケルです
舌を口蓋に付け 唇を閉じて 鼻で呼吸する
 そして頬筋を遠ざける
そうすれば 歯のスペースを作れます
 この変化を見てください
全てマニュアル本に載っています
萌出スペースが無かった犬歯が
良い状態で萌出しています
 早期治療のコンセプトは
犬歯の(萌出)向きを変えられることです
 どこかに埋伏し 
異常な方向に萌出するとしても
本来あるべきスペースに誘導できます
コーディの治療結果を見ると
 良い顔立ちで 
幅の広いキレイな歯並びになりました
ヘアスタイルもトレンディです
嚙み合わせも驚くほど良くなりました
4本抜歯する従来の矯正法では
決して実現できなかったでしょう
コーディの元の犬歯をご覧ください
矢印で示した右下の犬歯 (43) です
最初は全くスペースがありません
側切歯と小臼歯に当たっていました
このスペースを 弱めのNiTiコイル
スプリングで作ることができました
 最も望ましい歯周の変化は 
まだ完全に萌出していない犬歯に起こります
スペースが無い状態で 犬歯が萌出すると
付着歯肉の範囲に萌出するので
良い歯肉縁を得られない問題があります
犬歯萌出前の治療を強くお勧めする理由です
犬歯が萌出した後では遅いです
コーディの治療開始は少し遅すぎたと思います
歯科医や矯正医 歯周専門医に
全ての方に理解して頂きたいのが
矯正相談の初診の適年齢は
14〜15歳ではありません
その年齢では犬歯スペースが無いからです
非抜歯で歯並びを整えたとしても
望ましい歯周変化を得られません
米国矯正歯科医会 AAOはこう述べています
最初の矯正相談は7歳までに済ませましょう
理由の1つは犬歯のスペースを作るためです
皆さんにお伝えしたいのは
7~9歳の子供さんがいる親御さんは
矯正相談に連れて行きましょう
パノラマX線写真を撮って
犬歯の位置をチェックしましょう
犬歯スペースが無いときや
悪い角度で萌出している場合は
萌出を変えてスペースを作る方法があります
荷重と摩擦の少ないデーモンシステムを用いて
とても良い生体学的結果を得られます
顎骨から犬歯を引き出す費用をかけずにです
従来の矯正法ではその手間がかかります
Dゲイナーや 2x4テクニック 
コイルスプリングの種類に関して
詳細をご希望ならメールをください
コンセプトのご理解をお助けします
残念なのは 14歳になってから
紹介されて矯正相談に来られることです
犬歯のスペースが無いからです
良い結果を得るのがずっと難しくなります
安定性もあまり良くありません
メールを下されば本や症例を送ります 
子供にとっての最善を尽くしましょう 

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