ケビン・オブライエン先生と、バリー・ラファエル先生の対論
【第152回ブログ】は、呼吸気道に配慮した矯正治療、エアウェイ・フレンドリー・オーソドンティックスに関する話題です。矯正ブログで有名なケビン先生は、「幾多の良心的な矯正歯科医院からすれば、迷惑な話ではないのか」と考えています。対して、バリー先生は、「睡眠時無呼吸は矯正にとって厄介な事態と捉えている矯正歯科医であるならば、問題の本質から目をそらしている」と主張しています。この記事は、2019年4月中旬の Facebook から転載しています。
【歯科矯正の新しい分野、エアウェイ・フレンドリー・オーソドンティックス】
ケビン・オブライエン先生のブログからご紹介しています。歯科矯正の新しい取り組みとして、「呼吸気道に配慮した矯正治療」Airway Friendly Orthodontics を提唱する人々がいます。
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これまでと何が違うのでしょうか? 睡眠時無呼吸 OSA になるリスクを低減する治療を心がけるというのですが、つまりは医院マーケティングの一方策として、他医院との差別化を図っているのではと推測します。
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一部のメーカーと主だった矯正歯科医のグループが先導しています。さらに、口腔筋機能療法 MFT を推奨するグループや、オーソトロピクス(顎顔面成長誘導)を重視するグループも参加しています。
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エビデンスが無いことや、科学的根拠に乏しいことは、「歯を抜かない矯正」や「速く治る矯正」と同類のものであると、ケビン・オブライエン先生は断じています。
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幾多の良心的な矯正歯科医院からすれば、迷惑な話ではないのかと考えています。現状の矯正治療に何ら落ち度はないし、今の矯正治療の普及実態を見れば、それは容易に理解できると言います。
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それではどのように、OSAリスクの問題に取り組むべきでしょうか? 患者さんのリスクを判定して、耳鼻咽喉科などの他科に紹介します。必要ならば矯正治療でお手伝いします。ただし、他の手段で解決されない場合にのみ限ります。エアウェイ・フレンドリー・オーソドンティックスは何も特別なものではありません。
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【ラファエル先生からの反論(前編)エアウェイ・フレンドリー・オーソドンティックス】
従来の矯正治療を27年間手がけたのち、エアウェイ・フレンドリー・オーソドンティックスを始めてから10年になります。マーケティングのためでなく、エビデンス(科学的根拠)を積み重ねるためでもなく、呼吸障害で困っている子供たちを助けたいのだと、バリー・ラファエル先生は反論しています。
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鼻で呼吸しないで、口呼吸せざるを得ないには、100を超える原因があります。横隔膜を使わない口呼吸は浅く、鼻呼吸にくらべ呼吸数は2倍です。口呼吸、お口を開けたままの姿勢、過呼吸が健康に良くないことを、一世紀にわたり知られてきました。
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お口を開けたままの姿勢が、扁桃腺の腫れや、アゴの成長を阻害するために、睡眠時無呼吸につながりやすいことは周知です。不正咬合も長期に及ぶ習慣の結果です。私たちは、不正咬合と睡眠時無呼吸を結びつける証拠を示すことができません。
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不正咬合と睡眠時無呼吸は 1:1 の関係ではなく、共通する病因から派生するものです。すなわち、呼吸障害、口腔周囲筋の機能不全、顎顔面の形態の異常などです。
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矯正歯科に限らず、呼吸気道に配慮した歯科として、鼻の先からノドの奥まで、楽に呼吸できるように、子供たちを助けてあげなければなりません。
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【ラファエル先生からの反論(中編)】
オブライエン先生がアカデミックで論理的なのに対して、ラファエル先生は多分に情緒的です。患者さんや親御さんに、どちらの言葉が届くのでしょうか?
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歯科矯正にできることは限られています。前方への顎成長を助けることによって、呼吸気道を広げることができます。舌スペースを大きくすることにより、舌がノドの奥に沈み込むのを防ぐことができます。
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子供たちに鼻で呼吸するように指導できます。唇を閉じさせ、舌を口蓋に持ち上げるように教えることもできます。そうすれば上顎は健全に成長するでしょう。
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頬の筋肉を使わずに飲み込む方法を教えることもできます。そうすれば、舌が歯を押し出すこともありません。
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これらすべてのことは、専門を問わず、歯科全般の範囲のなかにあります。そのようなゴールに向かって、有効な手立てを進んで取り込みたいと、バリー・ラファエル先生は反論しています。
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【ラファエル先生からの反論(後編)】
私たちは、子供たちの呼吸障害をスクリーニングできる立場にあります。そして私たちには、この問題を一緒に解決できる専門家たちがいます。
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頭蓋顔面骨の成長を評価できる人、舌機能を指導できる人、呼吸気道を診断し治療できる人、そして顎顔面成長を助けることができる人、栄養・姿勢・睡眠の専門家などです。
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問題の本質を理解できなければ、エアウェイ・フレンドリー・デンティストリー(呼吸気道に配慮した歯科)とは言えません。もし、口蓋を拡大することで解決できると理解しているのであれば、もっと学ぶべきことがたくさん有ります。
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睡眠時無呼吸は「矯正にとって厄介な事態」と捉えている矯正歯科医であるならば、問題の本質から目をそらしていることになります。
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ラファエル先生が反論しているケビン・オブライエン先生は、5月5日の米国矯正歯科医会 AAO2019 in LA で講演されます。テーマは先ごろ亡くなられた Proffit 先生の追悼講演です。
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