アメリカの歯科矯正事情
【第2回】アメリカの歯科矯正事情
矯正歯科医の資格要件について
全米には66の矯正歯科教育プログラム(大学院の医局に相当)があります。歯科における専門課程としては最も多くの卒業生を輩出しています。ほとんどの矯正歯科プログラムは2〜3年限であり、修了証書を発行してくれます。歯科医師免許を取得したのちに、矯正歯科の教育プログラムに進むことができます。ほとんどの州では歯科医師免許があれば、矯正を含むどんな専門分野の治療も行なうことができます。しかし、ミシガン・オレゴン・アイダホなどいくつかの州では、スペシャリストとしての矯正歯科医は、米国矯正歯科医会(Association of American Orthodontics:AAO)によって実施された筆記および臨床試験に合格し、かつ認定委員会 (Board) によって認められなければなりません。
その他の矯正歯科研修コース
全米には多種多様な矯正歯科に関する研修コースがありますが、以下に代表的な5つのコースを紹介します。これらは主に一般歯科医向けのコースであり、米国歯科協会(ADA)の生涯研修制度に取り入れられています。
アメリカ矯正歯科協会 (American Orthodontic Society : AOS (上記のAAOとは違う))は、一般歯科医向けに矯正歯科研修コースを提供しています。歯科医に矯正の最新技術と知識を伝え、継続的な研修をつうじて、矯正治療の提供者としてのレベル向上に努めています。
GP矯正アカデミー (Academy of GP Orthodontics) は、1987年に創設された非営利組織で、一般歯科医に向けて矯正歯科の教育コースを運営しています。会員にはGPの他に専門医も含まれています。この団体の特徴は、実際に治療をしながら経験値をあげていくことです。
US歯科学院 (United States Dental Institute) は、30年の長きにわたり矯正歯科プログラムを提供しています。全米40カ所に拠点があり、一般歯科医および小児歯科医向けに矯正歯科研修コースを運営しています。加えてこの団体はインビザラインの認定コースも提供しています。
プログレッシブ矯正歯科セミナー (Progressive Orthodontic Seminar : POS) は、1984年に創設され、世界中に40カ所の拠点をもち、世界中の一般歯科医にむけた総合的な矯正歯科に関する研修システムを運営しています。この団体はソフトウェアと矯正器材の提供をつうじて包括的な研修としています。
国際矯正歯科協会 (International Association for Orthodontics) は、最も大きな組織であり、1961年創設以来の最も歴史のある団体です。米国に本拠をおき世界中の歯科医に向けて、国際的に矯正歯科の共同研修をおこなっています。会員は50カ国におよび、4,200名の一般歯科医および小児歯科医を擁しています。IAOによるプログラムの範囲は矯正歯科治療の訓練、臨床経験および教育研修です。