腫れた扁桃腺・アデノイドと狭い口蓋の関係



第123回動画は「腫れた扁桃腺・アデノイドと狭い口蓋の関係」と題して、オーストラリア・シドニーで開業するドレク・マホニー先生のビデオメッセージをお送りしています。幼少期のお子さんの約半分が罹患すると言われる、アデノイドもしくはアレルギー性鼻炎、その後の扁桃腺の肥大は、呼吸気道と顎顔面成長に深刻な影響をもたらします。

大人になってから矯正治療を受けようとすると、小臼歯4本を抜かなければ歯が並ばない、と言われることが多いです。今となっては止むを得ないことと思いますが、子供のころであれば予防できました。歯が並ばない狭い口蓋の原因はさまざまあります。比較的高い割合で起こるのが、扁桃腺の腫れやアデノイドによってお口で呼吸する習慣が長く続くことにより、上顎口蓋の幅が広がらない問題です。

狭い口蓋になりうる予兆は、5〜6歳頃からの口呼吸や睡眠時のイビキ、舌を前に突き出すタングスラスト、舌横のホタテ模様(スカロッピング)に見ることができます。マホニー先生の言うように、6歳からの早期マネージメント(成長管理)が大切です。おかしいなと思ったら、まずは耳鼻咽喉科にご相談ください。そこから小児歯科または矯正歯科をご紹介していただくのが理想的です。繰り返し言いますが、お子さんがイビキをかいていたなら、それは大人と違って病的なものです。早めに専門医にご相談ください。

このビデオメッセージのもう一つのポイントは、鼻つまり(鼻閉)やアデノイドの問題が、狭い口蓋の問題と強くリンクしていると言うことです。歯並びが悪ければアデノイドになりやすく、アデノイドであれば歯並びが悪くなります。口蓋を広げることにより、鼻の通りが良くなったという研究報告は数多くあります。

今日は初診の患者さんの検査の日です
最初の患者さんは グレースです
グレースは 掛かり付けの歯科医から
叢生(乱ぐい歯)のため紹介されました
グレースの歯並びを見ると
犬歯のスペースがありません
 近づいて見ると
口蓋が狭いことが分かります
 口蓋が狭い子供は
親指しゃぶりの癖があるか
もしくは 呼吸気道が閉塞しています
グレースの扁桃腺を見てみましょう
あーと大きく口を開けてください
呼吸気道を塞いでいるのがわかります
扁桃腺はグレード3です
グレースの呼吸法を見ると
明らかに口呼吸をしています
口を閉じて下さい 典型的な
狭い口蓋で かつ交叉咬合です
それに伴う前方のタングスラストです
舌をこの部分に付けられません
舌の側面を見てみましょう
舌を前に出してください
舌の横にホタテ模様の歯の跡が見えます
ホタテ模様と狭い口蓋 肥大した扁桃腺は
 治療が必要な証拠です
従来の矯正法では抜歯をするでしょう
一般的に小臼歯を抜きます
すぐに犬歯のスペースを作れますが
問題点は口蓋が狭いままなので
舌のスペースを確保できません
口蓋を拡大することで 鼻呼吸が
改善するという報告が多くあります
グレースは 耳鼻科医と協力して
肥大した扁桃腺を治療しました
それから上顎を拡大して
歯のスペースを作りました
拡大した後は 舌の位置を
前方から上方へ変えるように訓練します
他の資料を見てみましょう
これはグレースの側面X線写真です
アデノイド肥大が見えます
別名を 鼻咽頭扁桃とも言います
度々 鼻を通る空気が塞がれています
はっきりと鼻ポリープが写っています
 アデノイドの肥大と 
口腔内には扁桃腺の肥大が見られます
それら全ては口呼吸の習慣を作っています
 歯の角度を見ると 
舌が出ているのがわかります
それをタングスラストと言います
そのため歯が前方傾斜しています
親御さんにパンフレットを渡しています
これが欲しい方へは喜んでお送りします
このパンフレットは親御さんに
狭い口蓋と口呼吸の関連性や
気道閉塞が起きやすい場所や
顎を拡大する方法を説明しています
様々な参考文献も載せてあります
狭い口蓋と鼻つまり(鼻閉)に関するものです
ハイラックス装置を奥歯に付けて
キーを回して口蓋を拡大します
 ゆっくりと広げることで
口蓋形成のための骨再生をうまく行えます
口蓋はまさに鼻腔の底面です
簡単な解剖学のレッスンです
このような広いアーチ形態が必要です
理由は 舌がそこに落ち着いていないと
代わって頬の咬筋が 全体を押し込むからです
解剖学上 鼻腔底面と口蓋は
 深く関連しています 
ここを拡大すれば 耳鼻科医が鼻閉を改善でき
 とても良い結果を得られます
早期に始めれば より顔が前方へ成長します
遅ければ遅いほど 中顔面が不完全になります

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